1992年1月、ミッドナイト・プレスから刊行された根本明(1947~)の第5詩集。装幀は金城秀明。付録栞は中上哲夫。著者は宮崎県生まれ。
前詩集を出した後、「荒涼地帯」という連作で、東京湾東岸の埋立地の風景を描こうとした。だが、ふりかえるとそれらの言葉の多くは瓦礫のようにみえた。世界と幻想のねじれのなかに自己の身体と生を見出すというもくろみは、未だ迷路にあるということなのかもしれない。
ここ数年の私たちを取り囲む風景は激しく変化している。以前の光景を思い出すのが困難なほどの根底的な変化のようだ。それは意識よりもはるかに速い。今、どこにいるのか、私たちとは誰なのかという問いがますます私の中でせりあがってくる。
(「後書き」より)
目次
- 水槽愛
- 赤い靴はくその人を
- チキン、ドランカー
- くれないの煮える港へ
- 西けらく駅
- 三十八歳の幻滅
- 澪。赤ちゃんの道
- あかね浜という名も美しい
- 鐘が打たれる
- 家族は神話となる
- 緑の血の中に横たわってしまった。草野という林ですが
- 哀しい快速電車
- 手をつなぎ、そこに立っている
- 失われて、渚
- 失われて、渚2
- 望郷
- ともにある
- ユーウツなる千葉市
後書き