1971年12月、昭森社から刊行された森田進(1941~)の第1詩集。装幀は山本信。著者は浦和市生まれ、刊行時の住所は香川県善通寺市。
関東からはるばる同志社へと十九歳のぼくを駆り立てたものは、更級日記とキリスト教であった。そこで定石どうり、己の小宇宙の構築に熱中した。さらに早稲田に学んでから下関にある梅光女学院の教師となった。三年後に再び上京、思い切って東南アジアに遊んだ。昨春、ひょんなことで四国学院にやってきた。
処女詩集「海辺の地方から」には、雑誌や同人誌に発表した詩の中から、ぼくの愛情の深い作品ばかりを集めた。二十歳から二十九歳まで過去十年間である。どうやら、詩と信仰がぼくの核にしたたか食い込みだしてしまったらしい。
刊行にあたって、大江満雄先生にずいぶんお世話になった。また、少年時代からの友人である画家の山本信兄に装幀してもらえて、ほんとにうれしい。(「あとがき」より)
目次
- 極東通信
- さようなら
- 向日葵
- 部落
- 韓国人学生 梁 勝将に与える詩
- バーシー海峡
- 青春
- プノンペンの午後
- 石の廃墟
- 天草
- 平戸
- 早春
- 序列
- 視点
- 聖夜
- 学校
- 野性水仙
- 城
- 薔薇
- 蟬
- 岸壁からの報告
- 夜景
- 夏
- 明るい午後
- 出発
- 欅について
- 家庭
- 私
- 弔辞
- 葬送
- 習慣
- 赤松の丘
- 墓参
- 指
- 遍路墓
解説 大江満雄
あとがき