工業の周辺 桑島玄二詩集

 1962年4月、蜘蛛出版社から刊行された桑島玄二(1924~1992)の第4詩集。装幀は貝原六一。著者は香川県生まれ。

 

 「新領土」「現代詩」、亜騎保編集の「天秤」、それからぼくが編集していた「MENU」に発表の作品で、この詩集ができた。ただ作品中「島の手細工」だけは既刊の詩集に掲載分を含め、今度のようなかたちに再編してみた。
 この詩集は、最近の商用旅行の車中でまとめた。途中大阪で一泊した。戦前大阪の日本橋筋は古本屋が軒を並べていた。ぼくの短かい青春はその町筋にこめられていたといっていい。たとえばぼくはそこの店先で、「20世紀」「新領土」の数人の青年詩人の仕事をしった。その界隈は戦災で焼失していまい、ついに復興すことがなかった。いまでは弱電気部品の現金問屋街となり、結構繁盛しているようだが、ぼくなどにはそれが象徴的にとれる。
 この詩集を、神戸の詩人たちにおくりたい。また行動美術、貝原六一君の好意に謝する。
(「メモ」より)

 

目次

・工業の周辺

  • 雨の端数
  • 裸電球
  • 工業の周辺
  • 立話
  • 慣れた体
  • 飯盒
  • 防止

・折目

  • 遠近法
  • 夏の河岸地区
  • 折目
  • ・島の手細工
  • 島の手細工

解説 衣更着信


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