長谷川時雨 人と生涯 長谷川仁 紅野敏郎編

 1982年3月、ドメス出版から刊行された長谷川時雨(1879~1941)の評伝。編者は長谷川仁と紅野敏郎。カバーは長谷川春子(1895~1967)。

 

 私を生むと間もなく病死した生母に代わり、生まれ落ちるより一人前の大人になるまで私を薫育し、明治、大正、昭和の三代に渡ってその多彩な生涯を生きた長谷川時雨の歩んだ道を、長谷川家を継ぐ者として語り伝えておかねばならぬと思い、私筆を走らせた次第である。ほかに画家であり、毒舌家と言われて一生を独身で通した、時雨の末妹春子の随筆も附け加えさせて貰った。
 時雨の幼き頃のあだなアンポンタン(安木丹)とは、江戸時代の流行語で愚か者をののしって言う言葉である。
 また昭和五四年七月一九日、私が永年保持して来た時雨の著書・遺墨・遺影・遺品その他関係資料(「シバキ」「女人芸術」「輝ク」を含む)を、すべて日本近代文学館に寄贈し、公共の用に供するとともに、永く保存していただくこととした。
 なおこの本を上梓するに当っては、近代文学紅野敏郎早大教授、「女人芸術」の探究者尾形明子氏、時雨のファンでその著書のコレクターを任ずる森下真理氏、ドメス出版の鹿島光代編集長のお骨折りをいただいた。ここに厚く御礼を申し上げる次第である。
(「あとがき/長谷川仁」より)

 


目次

Ⅰ 時雨の譜 長谷川仁

  • アンポンタン時代
  • 「うづみ火」から劇作の道へ
  • 「舞踊研究会」と「狂言座」
  • 『美人伝』の作者として
  • 「女人芸術」と「輝く会」 
  • 死とその前後

Ⅱ 渡りきらぬ橋 <遺稿> 長谷川時雨

Ⅲ 天下の美人を姉に持てば――長谷川時雨を語る 長谷川春子

  • 姉さんの略歴
  • 「明治が死んだ」
  • こっちはイヤハヤ
  • なれぬジャジャ馬
  • ラブレターも長篇
  • 押しの亭主に押掛け女房
  • 天下一の夫婦ゲンカ
  • 明治型の代表選手

Ⅳ 長谷川時雨論 紅野敏郎

Ⅴ 著書解説・著書目録 森下真理

あとがき 長谷川仁
あとがき 紅野敏郎

 

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