
2006年7月、久米島出版社から刊行された沖野裕美の第4詩集。装画は大城真弓。著者は今帰仁村天底生まれ、久米島町育ち、刊行時の住所は那覇市首里石嶺町。
昨年の暮れ、久米島出版社の宮平眞孝氏から二〇〇六年一月刊行予定の「新聞くめじま」に詩を依頼されたとき、巻頭を飾るため久米島をテーマにした詩を書いてみようと思いたって「君南風の町」をつくった。
この詩が新聞に掲載されたことがきっかけとなって長いあいだ心の隅にしまい込まれていた子ども時代の郷愁がわき起こり、過去と現在が交錯する記憶のかけらをたぐり寄せる作業を開始したら意識の奥底から諸々の言葉がほとばしり、一月から三月までの三ヶ月という短い期間に二十数篇の詩をふくらませることが出来た。
首里石嶺町三丁目界隈の喫茶店で宮平氏にお会いして会話のつれづれに「新聞くめじま」に載せる詩を二カ年分ほどつくってしまったと話したところ、ぜひそれを
詩集として出版したいというおもいがけない申し出がさしだされ、はからずもわたしにとって四番目となる詩集を上梓することになった。
詩群の大半は、親の仕事の都合であちらこちら転校生活を余儀なくされた子どもが久米島の風土の中で、その時々出会ったその地域の子供たちと夢中になって遊びながら、いろいろなことを体験してたくましく成長する領分を、言葉で押し出した記憶の所産から成り立っている。
わたしの内で日の目を見ずに眠り続け、その存在すら定かではなかった詩片を明るい外へ連れ出してくれた宮平氏の多大な尽力と数々の助言に深く感謝すると共に、久米島という緑の磁場をあらためて体感できたことを確認しつつこれからもわが島にわがウムイを注ぎたい。(「おぼえがき」より)
目次
Ⅰ うちゃむ・まあじゃのうた
- 死者の祝い日には
- 魔術師
- 王様クレヨンと消しゴム
- かずお なかんけぇ
- 久米島根性
- 貝を拾うため
- スクを待つ
- 薬莢とは
- 福木について
- しんちゅう鍋
Ⅱ じま・かりかる・じゃあむのうた
- 渡る
- 展覧会のために
- 毒の木
- 酋長の娘
- 生きる生きる
- 少年
- 蛇の目傘
- 小道
- じゃあむの時の中で
- 絶対者の繊毛
- じゃあむびとの血
Ⅲ かねぐしくなちじんあみすくのうた
おぼえがき