1968年1月、思潮社から刊行された相良平八郎の第1詩集。
この詩集の十四篇の詩は一九五五年ころから六六年までの間、各誌に発表したもののなかからえらんだ。詩の配列は比較的おなじ傾向と思われるものを年代順を無視してならべた。
戦後詩との出会いによって私は今なお詩に過剰な期待をかけすぎるという痼疾にとりつかれている。十二年の現実は大きく変貌した。しかし、変貌した多くのもののなかに、私が書かなければならない伝統を拒否したものがたくさん残っている。そうだとしたら、私は私自身の期待にもこたえることができなかったといえる。
詩が現代のもっとも尖鋭な部分を鼓動させることができたら、言葉はもっと醜悪な形式をとってよいと思う。詩を現実のカッコと保証のなかにおいこみすぎて不自由なものにしたきらいがあると思うが、私の実存のなかで、言葉、感情、経験、生活、思想などが一線上にならんでどれだけ醜悪な形式をとることができたであろうか。
(「わとがき」より)
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あとがき