1958年12月、国文社から刊行された土居ナカ(1924~)の第1詩集。ピポー叢書。装幀は勝呂忠。著者は南宇和郡城辺町生まれ、刊行時の職業は宇和海村診療所勤務。
此の詩集には一九五六年から一九五八年までの最近のものをあつめた。主に現代詩研究に発表したものである。作品の配列は制作順によらない。この作品達は私の孤独と精神的排泄の集約のカルテとも云える。既に詩と医学共に捨て去ることの出来ない苦悩が枝を張ってしまった。
詩作をつづけることについて、いつも自由に私を歩かせて下さった先輩長田恒雄氏、中村千尾氏、出版に御配慮下さった梅本育子氏、前島幸視氏装幀をわずらわせた勝呂忠氏、暖い友情で私を包んで下さる現代詩研究の同人の方々及び婦人文芸の諸氏に深い感謝を申上げたい。
(「あとがき」)
目次
- 海のカルテ
- 裸像
- 秋のかしみでなくて
- 海のうたった歌
- 不死身の色彩
- 送葬曲
- ブルーの海蛇
- 春の対話
- 何を食べればよいか
- 寂しい村で
- 死神のレリーフ
- その魚
- 知らない川
- 孤島の心に似て
- ある顔
- 海と寸劇
- 悪魔の耳
- レダ
- 旅人
- 肉と骨
跋 長田恒雄
あとがき