増補新版 言葉と戦争 藤井貞和

 2023年11月、編集室水平線から刊行された藤井貞和(1942~)の評論集。著者は東京都生れ。旧版(2008)は日本詩人クラブ詩界賞受賞作品。

 

目次

・詩織

  • 砂に神の誘い子を置く

Ⅰ 言葉と戦争

  • 言葉と戦争
  • 一 戦争――記憶する未来
  • 「特集=戦争」/生物学的考察/攻撃本能という説/フロイト批判の誤解とは/「戦争の起源」対談/狩り=暴力、攻撃性?/本能よりは学習がだいじ?/戦争と法とのかかわり/違法行為は止められるか/野獣あいてに戦う行為は野獣であってよいか/市民の立場に立つとは/テロリズムという原罪
  • 二 非人間性の考察
  • 人間性の限界/『生きてゐる兵隊』/人間性の科学は成り立つか/靖国祭祀と戦争/靖国神社臨時大祭/霊魂のゆくえ/戦死とはどうすることか/戦場における殺人と被殺/銃後の酔いしれる幻想群/不可避性とは/身体論としての人類祖型/人身犠牲の分かりにくさ/人身犠牲と狩猟とはここがちがう/火の起源、料理の起源、近親相姦、戦争の物語/戦争の問題と医療の問題/戦争変形菌
  • 三終わりを持続させるために
  • リアリズムとは/「他国が攻めてくる」、えっ?/不戦条約の“戦争の放棄"/永遠平和のために?ポツダム宣言受諾/議論を尽くすべき憲法/国民主権基本的人権/冷戦のもたらした真の悲劇/時、それは持続の哲学/基地、女性、子供たち/ヴェトナム戦争のかげ/憎悪を超えるため/第二次湾岸戦争(イラク戦争)/言葉という行為、言葉による行為/終わりの終わり―本章のとじめに

Ⅱ 詩のするしごと

・教科書、戦争、表現

  • 一 問題の在りか、定義
  • 二 「いじめ」、そして銃(よさらば)
  • 三 『平家物語』、叙事詩という教材
  • 四 サブカルチュアと「反戦
  • 五 《民族》は超えられるか、詩の敗北か

・詩のするしごと

  • 一 定型からの距離
  • 二 言語の族の複数
  • 三 「民族」と「言語」とを超える
  • 四 現代詩のジレンマ(自縺麻)
  • 五 言語の批判
  • 日本語の境域――言語の<エスニシティー〉試論

Ⅲ Eメール往復書簡(ハルオ・シラネ/藤井貞和)

  • カノン、カウンターカノン
  • ニューヨーク――東京ニューヨーク――トリチュール――チェンナイ――シンガポール――プラハ――東京――ウィーン――東京――東京――原州――江陵――ソウル

Ⅳ 物語問題片

  • 物語は解き明かされたか
  • シ(ー)ディ(ー)カ
  • ほんとうの物語敗北史とは
  • ほんの二〇分まえ、イラクが戦争を中止するというニュースがあった

Ⅴ アジア、社会、個人

  • 戦争責任論争と問題点
  • 一 告発以後
  • 二 比喩の途
  • 三 問題点二、三
  • 思想は騙(かた)るか
  • 一 大衆のナショナル・ヒストリー
  • 二 丁寧語文体、非対称性
  • 三 語りの構造
  • 四 ゼロという人称、無人
  • 五 作者はかたるか
  • フィリピン史研究者
  • 大地の幻に対す――あるいは日本一九三六~四〇年代戦争と読者
  • 時代の写し絵――あるいは日本一九三六~四〇年代戦争と読者(続)
  • 日本社会の〈うたとは何か〉
  • 一 殺される女性たちの辞世
  • 二 『志士詩歌集』その他
  • 三 辞世に見る〈うたとは何か〉
  • 四 『この果てに君ある如く』

Ⅵ 心の風景

  • 心の風景20
  • 敗戦/祖父20

Ⅶ 増補

  • 「文学の言葉」と「非戦の言葉」
  • 一 鮎川信夫の生誕地を訪う、および田村隆一の詩
  • 二 『鮎川信夫戦中手記』『疑似現実の神話はがし』
  • 三 平野三郎文書、パリ不戦条約、戦争の放棄
  • 四 日本国憲法制定、「憲法研究会」
  • 五非戦の思想とは
  • 「黒雲」考


旧版(大月書店刊)あとがき
増補新版へのあとがき
湾岸戦争論」「戦争から憲法へ」細項
索引(人名・文献・戦争など)


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