おにぎりの詩 河野進自選詩集

 1981年12月、柏樹社から刊行された河野進(1904~1990)の自選詩集。装幀は小山忠男、挿絵は砂田暁美。著者は和歌山県生まれ、刊行時の住所は倉敷市

 

 前著〝母の詩"に続いて〝おにぎりの詩"が出版されました。三年前に、マザー・テレサに協力するために「おにぎり運動」と名づけて募金活動を始めました。日本人誰でも知っている、おにぎり一つの味を、飢えたインドの子どもや大人たちに、分けてあげたいとの念願からでした。
 幸い柏樹社も、全面的に協賛して下さること、前著と同様であります。深く謝意を表します。
 いよいよ老境に入りましたが、作詩の熱意は少しもおとろえません。救らい運動と共に最後までつづけます。四月二十七日、来日中のマザー・テレサの誠実な忠告をいつもはっきりおぼえています。
 瀬戸内海にあります三つのハンセン氏病療養所に慰問伝道を始めて五十年。二十二年前、宮崎松記博士と、インドのアグラに救らいセンター建設運動を。沖縄に、韓国にも運動を。そして、マザー・テレサに協力して、再びインドに献金運動を展開するようになりましたことも、神さまのお導きと信じます。
 長年にわたるわたしの独自の運動に、家族の理解と協力を感謝しています。
 また、いつもお祈り下さりご協力下さる、多くの方々に深く感謝申し上げます。
 日本のハンセン氏病は今後、二十年にして結末を告げると言われています。けれどもアフリカをはじめ、A・A諸国には、一千万人以上の患者がいて、おとろえそうにないと、国連保健部が警告しています。栄養がともなわなければ、特効薬も効果がないとのことです。しかも世界人口の三分の一が飢餓状態にあるとのことですから、救らい問題一つとっても、人類の大問題と言わねばなりません。
 明治以来、富国強兵におどらされて、日本国壊滅も、休戦だ、進駐軍だでお茶をにごし、折角の平和憲法をふみにじって、再軍備に起ち上る。軍備で国を守れなかったのだから、かつてひどい目にあわせた国々に、つぐないの愛の奉仕にこそ、専念すべきであると確信します。
(「あとがき」より)

 


目次

  • 序詩 鍵 
  • Ⅰ おにぎり
  • 毎日
  • ぬくもり
  • はじめて
  • いのり
  • おがむ
  • 幾代
  • たいぎ
  • とても
  • どっち
  • したい
  • 今日
  • おやつ
  • 忘れない
  • 共有
  • 似る
  • かわらない
  • 知る
  • 広まって
  • たのしい
  • ついさっき
  • どうして
  • 名つけ
  • まるい
  • ぎりぎり
  • 硬貨
  • どちらが
  • 千か万
  • おかげ
  • むかし
  • 生きてる
  • いつも
  • 素顔
  • はだか
  • 喜び
  • Ⅱ 母と子の世界
  • なんべん
  • 西瓜
  • 本(1)
  • 本(2)
  • 運転手
  • 熱発
  • きびしい
  • つばめ
  • かっぱ
  • 肩たたき
  • かさ
  • たいやき
  • 後姿
  • いくたび
  • 見ている
  • ついに
  • 熟柿
  • 代役
  • だまって
  • さんま
  • ほたる
  • こおろぎ
  • 呼ぶ(1)
  • 呼ぶ(2)
  • いいよ
  • たまご
  • 教え
  • 運動会
  • やまもも
  • 一度だって
  • 叱る
  • 教える
  • 早く
  • どちら
  • 母と父
  • しわ
  • 不思議
  • 着物
  • 忘れる
  • 夜道
  • いっぺんも
  • 風呂
  • 天使
  • ろうそく
  • 返事
  • 百五十人
  • おぼえる
  • 七夕祭
  • 花屋
  • 担任
  • あやつる
  • 逃げる
  • 運動場
  • そばに
  • 握手
  • 呼びかけ
  • すぐ
  • おしいれ
  • つばめ
  • ひとつ
  • Ⅲ 万華鏡
  • 美しさ
  • ばかりの木2
  • また
  • かくれる
  • いろり
  • 足跡(1)
  • 足跡(2)
  • 使命
  • ぞうきん
  • のせる
  • 大切に
  • みな
  • 訪問(1)
  • 訪問(2)
  • 働く
  • 歩き方
  • 想像
  • はがき(1)
  • はがき(2)
  • 上代校長
  • 菜食主義
  • 真の喜び
  • ごぜ
  • 良寛さん
  • 枯葉
  • 海底
  • よかった
  • 想い出
  • かつて
  • いま
  • 一言(1)
  • 一言(2)
  • 悔改め
  • 友情
  • 魔法使
  • 一つ
  • Ⅳ 病床遠近
  • 何も
  • うちに
  • あかぬ
  • 見舞い
  • 風見鶏
  • 重圧
  • やけど
  • もったいない
  • 療養所の教会
  • なんとか
  • 教会と今村兄
  • 見る
  • 五百人
  • 読む
  • 絶句
  • 所在
  • Ⅴ 祈りの塔
  • 呼吸
  • 今日も
  • 移り変り
  • 無尽蔵
  • 一呼吸
  • 偶然
  • よろこび
  • 自戒
  • ぐるみ
  • ひたすら
  • さらに
  • 蒔く
  • 余地
  • 一人
  • 老境
  • 流れ
  • あふれる
  • マザー・テレサ
  • 参加
  • 考え方
  • 聖体拝受
  • 一円と一億円
  • 二等分
  • 帆柱
  • マザー・テレサのことば》
  • もう一度
  • あなた自身を
  • そっと
  • 死を待つ人の家で
  • 対決
  • 家庭
  • 子どもの家
  • パン
  • 聞く
  • 旅路

あとがき

 

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