
2011年9月、あすら舎から刊行された新城兵一(1943~)の詩集。表紙・装幀は下地古仙。著者は宮古島市生まれ、刊行時の住所は那覇市。
『生命(ひびき)あり』(一九九五年刊)と『草たち、そして冥界』(ニ〇一〇年刊)が、それぞれ存在にまつわる〈生〉と〈死〉を主としてテーマにしていたとすれば、それら〈生〉と〈死〉の分離した極性よりは、むしろそれらの相互浸透性に重心を置いた詩篇を集めたのが、今回の『死生の海』である。これで、人間の〈生〉と〈死〉に関わる三部作は一応の完結をみることになるが、しかし人間の〈生〉と〈死〉が〈性愛〉と同様に根源的なものであり、また〈詩〉を書き続ける限り、今後もなお、おろそかに出来ぬテーマであるのに変わりはない。その〈生〉と〈死〉の相互浸透性を扱ったのが、特に、パートIIの詩篇群であって、嘗てのいずれかの日に構想されながら、ついつい、いつともなく立ち消えになっていたのだが、最近になり、「宮古新報詩壇」での発表の場をえて、集中的に書き継がれたものである。
パートI、IIの多くの詩篇は、詩誌「パルナシウス」(福岡)に発表されたものだが、その動力機関であり、牽引役を果たしてくださった高松文樹氏が病に倒れ、その雑誌は現在、休刊のやむなき状態に至っているのが残念でならない。氏の、一日も早い再起を願わずにはいられない。その他は、詩誌「あらん」「アブ」「キジムナー通信」「らら」、総合誌「沖縄文芸年鑑」「うらそえ文芸」「宮古島文学」に発表したものであり、日頃ひきこもりがちで目立たぬわたしを忘れずに、紙面へ登場させて下さった、それぞれの編集者にも、この際、ありがとうと言っておきたい。装丁は、友人の下地古仙氏にお願いしたが、快諾されて積極的に対応してくれたので、作業はスムースに運んだ。今回もまた、「あすら舎」の佐々木薫さんの手を煩わせることになったが、いつものことながら、仕事を熱心にスピーディーにこなしてくれて、深く感謝する次第です。
(「覚え書き」より)
目次
Ⅰ
- 土の来歴――山田真萬 「土の造型展」によせて
- 死の歯
- やるつもり
- 霊園幻想――少女に
- 裸形
- 死生の海 1
- ウォーキングコース
- 声の位置
- 還暦
- です
- 帰郷
Ⅱ
Ⅲ
- 輪舞
- 果実
- 樹木
- ある画像から
- 死生の海 2
- 灯
- 变幻
- 月と陽と
- カマキリ
- 癌細胞――繁栄と滅亡
- 死生断想
- 死生六章
- 耳の歌
- マツカマおばさん
- 手鏡
- 不意の唖
覚え書き