
1984年7月、書肆舷燈社から刊行された水谷清(1916~)の詩集。装画は平野充。著者は日本橋生まれ。刊行時の住所は豊島区南長崎。
この詩集は、七〇年秋に上梓した最初の詩集〈炎のあとに〉以降、八三年末までに〈新詩人〉〈詩篇〉〈無限通信〉に発表した七六篇のうちから選んだ五六篇から成っている。十三年間という激変する時代の波の飛沫をあびて、これらの作品群が時の風化に耐え得たものであったかどうか。またこれらの私的散文詩風の作品がどれほどまで詩作品として形象化され自立性を持ち得たかという点で危懼なしとは言えないが、ひとりの夢みる男の、ある時代のある時間をそれなりに生きた証を、形あるものにまとめたいという願いを抑えることはできなかった。題は失われた原風景への郷愁とつねに遙かな距離にあるものへの憧憬から『遠景』とした。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- この美しい朝のために
- 掌
- 暦
- 地下街のモツアルト
- 紐
- 贋の季節
- 師走の街角で
- 季節風のあとに
- 帰郷
- めぐる季節のなかで
- コンコルド
- 雷鳴と音楽のはざまで
- 森の奥で
- カルーセル エルドラド
- 冬の手紙
- 旅のおわりに
- 晩い夏の日の散策
- 秋の海
- Hommage à M. Hirano
- パブロ・カザルス頌
- 貘さんのいる風景
- さびしい春
- ふるさとを持たざる者の唄
- 憂欝なみどりの夜の宴で
- 六七年七月十四日夜の街の思い出
- 葡萄の村
- 夢二の墓
- 夏の影のように
- 空港で
- 銀杏の木の下の白いベンチ
- 冬のソナタ
- 秋雨の街で
- ハープを弾くひと
- チェホフの家
- ぼくはきみのためにレクイエムを歌わない
- 街
- 春愁
- プラネタリウムの時間
- 夢の果てに
- 陰に生きる人
- 詩はいつも……
- 囚われの泉
- 夏の花
- 欅の木の下を
- 秋の哲学堂公園
- 待春
- 明るい林の小径で
- 薔薇組曲
Ⅱ
あとがき