
1994年2月、編集工房ノアから刊行された海尻巌(1920~)の第2詩集。著者は兵庫県出石郡但東町生まれ、刊行時の住所は宝塚市。
始めて詩集を出したのは一九七五年、はや二十年の歳月が近づこうとしている。初出詩集には思いがけなく竹中郁先生の序文が頂けた。また中村隆君は心情溢れる跋文を寄せてくれた。その両氏共今は亡い。このことを思うと今更断腸の思いが込み上げてくる。先生は八十になったら画を描くよとおっしゃっていた。中村隆君は私の孤独の生涯にとってかけがえのない畏友であり、酒友でもあった。
詩に目覚めてから六十数年それにしても貧しき果実、恥をしのんで出版する。
尚編輯、跋文は直原弘道君、伊勢田史郎君の厚意に甘えることとなった。厚く感謝する。この詩集の表紙の絵は妻が手すさびの土筆のちぎり絵であり、初出版集の貝原六一画伯の麦の穂の絵と一脈相通ずるものがあり、少なからぬ宿縁を感じる。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 牧場にて
- おふくろよ
- 梅雨の晴れ間に
- 母の写真
- 水盃
- この鉄の棒は
- きず
- せみ
- 古丹波えびどくり
- 走者
- うた
- かなしいさが
- じいさんは靴直し
- 戒壇院の鬼
- 大江山の鬼
- 日南都井岬にて
- 街中の浜木綿
- 湊川公園あたり
- 恋唄
Ⅱ
- ある死顔
- 友逝く 四章
- 死んだ友への便り
- 先生の葬儀
- そのひとことが
- 納骨
- 8の会
- 私の財産
- そば
- うつ
- 死と生と
- 無題
Ⅲ
- 望郷
- 凍蝶
- 大衆喫茶店にて
- 冬の動物園にて
- 国民体育大会にて
- 嫁いだ妹に
- 古本屋にて
- ある男
- ふる里の四季
- 過ぎた夏の浜辺にて
- 終列車にて
- 虚飾をすてた詩人の魂 直原弘道
- 平明な措辞の奥処にきらめく…… 伊勢田史郎
あとがき