動物詩集 室生犀星

 1943年9月、日本繪雑誌社から刊行された室生犀星(1889~1962)の児童詩集。装幀は恩地孝四郎

 

 いろいろな動物の生活を見てみると、どういふ生きものにも私たち自身の生きてゐる有様が、ところどころに見られる。
 動物がびつくりする時や喜ぶ時にも、私たちのびつくりしたり喜んだりする、こまかい有様を見ることが出来る。いのちといふものを動物のなかに見てみると、どういふ下等な動物でもいのちを大切にまもるために、飛んだり逃げたりすることが分ります。
 私はこの「動物詩集」でどういふふうに詩といふものが生まれたり、書かれたりするものであるかを、この澤山の詩のあらはしやうによつて、お話したやうな氣がします。だから此の詩集を、ただ讀んでばかりゐないで、詩といふものや、文章といふものは、こんなふうに見たり書いたりすればいいのだといふやうに諸君にも詩を書いたり、考へたりして貰ひたいのである。思つたままをそのまま正直にかけばよい。
 脚のとれたいなごの、面白い歩き方をしてゐるのを書いてみても、それだけでも詩になります。なんでもないことで、それが實際にあつたことなら詩になります。詩といふものは一等書きやすいものです。うそを書かうとしたり、見ないで考へたことを書かうとしたら、詩はむづかしくなるのです。こんがらがるのです。
 私はたくさんの動物の詩を毎日一つか、二つくらゐ書いて見て、私がもつと少年のやうに若かつたら、面白い詩が書けたであらうと、さう思つたほどです。それほど詩は小さい時分に書くと面白いのが出来る氣がします。
 これらの詩は四、五篇をのぞいては、みんなあたらしく書いたものです。


目次

・春(春の顔のうた)

  • 蛇(あぶ)のうた 
  • 蝶のうた 
  • 紋(もん)白蝶のうた 
  • うぐひすのうた 
  • 蛟(か)とんぼのうた 
  • 水鮎(あゆ)のうた 
  • はとのうた 
  • うじのうた 
  • 雀のうた 
  • 蜂(はち)のうた
  • 蛤(はまぐり)のうた 
  • 淺蜊(あさり)のうた 
  • 田螺(たにし)のうた 
  • 鯛(たひ)のうた 

・夏(夏の顔のうた) 

  • なめくじのうた 
  • かぶとむしのうた 
  • かたつむりのうた 
  • かはほりのうた 
  • 蛇(へび)のうた 
  • 鯵(あじ)のうた 
  • まひまひのうた 
  • 馬のうた 
  • みみづのうた 
  • かにのうた 
  • ほたるのうた 
  • 毛虫のうた 
  • ぼうふらのうた 
  • おけらのうた 
  • ひめだかのうた 
  • ばつたのうた 
  • みんみんのうた 
  • いもむしのうた 
  • ぶんぶんむしのうた 
  • ひぐらしのうた 
  • おにやんまのうた 
  • 玉虫のうた 
  • 金魚のうた 
  • 夏の雀のうた 
  • 蛙のうた 
  • とんぼのうた 

・秋 (秋の顔のうた) 

  • かまきりのうた 
  • こほろぎのうた 一、
  • こほろぎのうた 二、 
  • 頬白(ほおじろ)と目白のうた 
  • 啄木鳥(きつつき)のうた 
  • いなごのうた 
  • 灯(ひ)とり虫のうた 
  • つくしこひしのうた 
  • 松虫、鈴虫のうた 
  • 鵙(もず)のうた 

・冬(冬の顔のうた) 

  • あひるのうた 
  • はたはたのうた 
  • 熊のうた 
  • からすのうた 
  • みそさざいのうた 
  • ふなのうた 
  • うさぎのうた 
  • 冬の蠅(はひ)のうた 一、 
  • 冬の蠅のうた 二、 
  • 鰈(かれひ)のうた 
  • 氷魚(ひを)のうた 
  • なまこのうた 
  • 犬のうた 
  • 猫のうた 
  • 雪は生きもののうた 
  • 雪降虫のうた 
  • べに鯛(だひ)のうた 
  • 白熊のうた 


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