
2007年10月、書肆山田から刊行された吉田義昭の第5詩集。装画は柿本忠男。刊行時の著者の住所は板橋区四葉。
ひとつの詩篇の中にひとつずつ、私の精神史の中の事実を記述してみた。詩を書くことで、ちっぽけな私や、私と息子の歴史、また、地球でしか生きられない私の生活の歴史など、私なりの観点で探ってみたかったのだ。特に地球に住んで、私と同じように、地球について考えていた科学者たちの歴史を辿ることは楽しい作業だ。だからと言って、科学理論や科学史がそのまま詩作品とはならない。私なりにかなりの脚色をしていることを断っておきたい。
科学的な抒情を意識しだしたあの頃、私にとっての科学史とは、ある種の謎解きの面白さでもあったのだ。アインシュタイン、ニュートン、コペルニクス、ガリレオ、アリストテレスたちを詩に登場させてから、もう二十年位は過ぎただろうか。
私は科学史家ではないが、様々な時代の流れの中で、あるいは、様々な時代を交錯させて、詩という表現を用いて、彼等の発見や思想を捉えてみたかった。確かに、私は科学史と言うより、科学者たちの不器用な生き方を辿る方が面白いと思っていたのだが。
人が自分の生きている時代を捉える時、その全体を把握することは難しいが、私は科学史的な観点でしか、歴史を見ていなかった気がする。『ガリレオが笑った』二〇〇三年、『空にコペルニクス』二〇〇四年、そしてこの詩集と、科学的な抒情をテーマとした作品を書き続けてきたつもりだが、また、新たな分野へと出発しなくてはならないと思ってはいる。装丁は今回も柿本忠男氏にお願いした。また、作品の構成は大泉史世氏に全面的にお願いすることになった。お二人には心から感謝したい。
(「私自身とこの詩集のための覚書」より)
目次
- 風の力
- 月の外の子供
- レモンの木
- もうひとつの地球
- 大陸は移動している
- 日没の後で
- 静かな生活
- 国語の国
- 私と私のアメリカ
- 自然の法則
- 風の時間
- 大人のための童話
- ニュートン家の隣人
- 私の慣性
- 科学狂時代
- その後の万有引力
- エネルギー
- アリストテレス的に
- 月の時間
- 海と風の透視図
- 海の遺伝子
- 北半球
- 発熱体
- 波打ち際にて
私自身とこの詩集のための覚書