1988年12月、マガジン・ハウスから刊行された林あまり(1963~)の第2歌集。装画は福井真一。鳩よ!の本。ブックデザインは藤林省三。
まず主人公を設定します。机に向かってあれこれ場面を考えます。私の短歌は、そんなふうに出来あがっていきます
。日々の生活の中で、ふっと短歌が浮かぶという感覚とは、かなり違うかもしれません。けれどこよなく演劇の好きな私には、いちばん自分に合ったつくり方のようです。
「ナナコの匂い」は私の第二歌集です。ひとりの主人公を追いかけて歌集一冊つくりあげる、これはぜひやってみたかったことです。このような新しい試みに挑戦できたことに、心から感謝しています。
(「あとがき」より)