1963年12月、思潮社から「現代詩人双書」の第9冊として刊行された笹原常与(1932~2012)の第2詩集。
わたしの井戸は小さく、水は涸れやすい。それでも少しずつ少しずつ水はわき出て、永井年月の間には、自然と井戸の底にたまるようになる。わたしは、自分の底につるべを垂らしては、たまった水を汲みあげる。
五年近くの歳月をかけて、わたしが汲みあげた水は、こんなにもそまつな、そしてわずかな量でしかない。(「書附け」より)
目次
- 手
- こいうた
- ガード
- キリストの入市
- 井戸
- カレーの市民
- 歩く人
- 歌
- 気配
- 埋められた顔
- 脚の歌
- 心
- 電話ボックス
- 首吊り
- 啞
- 木
- 見えない者
- 涙
- 涙2
- 地図
- 使い走りの子
- 声
- 眼
- 通訳者
- カリュアテイデ