1989年5月、地球社から刊行された田中美千代(1949~)の第1詩集。装幀は新井豊美。
白い紙を見ると胸が騒ぐほど、幼い頃から書くことが好きでしたが、詩はほとんど書いたことがなく、秋谷豊先生の詩の教室で、初めて現代詩の一から教えていただきました。 先生は常に”わかりやすい言葉で”とご指導下さいます。人の心に深くとどく言葉は、決して難しい言葉ではない、と示して下さっているように思います。
体の中に自然に発酵してきたものを写し取るようにしてきましたが、書きあがると自分の意図する詩でないことが多くありました。それはまだ思考が熟していないことの証明に他ならないのですが、写し取るだけでは詩にならないという、そのことに気がついた頃から詩らしいものが書けてきたように思います。
迷路のような現代社会を、人間の醜さ、優しさを、簡潔に、見事に描き切れる現代詩の魅力にひかれて、これからも勉強を続けていきたいと思っております。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
Ⅱ
- 空気銃
- 幼いオルフェウス
- 鎖
- 蝙蝠
- 言葉
- ベンチ
- 蛇
- 殺意Ⅰ
- 殺意Ⅱ
Ⅲ
- バス停留所
- サイコロ
- にっき飴
- 逆さまつげ
- 腫瘍
- ストレッチ体操
- カミソリ
- マリオネット
- ちえの輪
あとがき