1979年12月、現代詩工房から刊行された小野恵美子(1949~)の第1詩集。装幀は新井豊美。著者は栃木県生まれ、刊行時の職業は宝仙学園勤務、住所は草加市。
人間の感情の判らなさを私なりに考えるようになり、詩を書き始めました。詩作という行為に、槌ったり祈ったりしながら、折々の自己の感情をみつめてみました。今思えば、苦しいことから自己を救済するための手段として、詩作を選んだのだと思います。ですが、救済といっても、書いていくと、ますます生きるものの哀しさばかり目についてしまいます。いつかおおらかに生の讃歌をつづることができないでしょうか。
生きることのよろこびの瞬間を見逃してしまうことのないように、いわゆるもてる時代に生きる私たちがあえて貪欲に生きるのには何が大切なのか、考えていきたいと思っています。又、まだ判らないまま書いている詩というものについても、問いつづけていきたいと考えています。
今回の詩集の刊行にあたって、拙い作品に目を通して下さった秋谷豊先生、つねに温かい励しを寄せて下さる池袋産経学園「詩の教室」の皆様、ありがとうございました。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 標本箱
- 降りてこない猫
- 鷺
- 仰むけの金魚
- K
- 雑誌
- 亀裂
- 異变
- 名前
- POLVORON
- 首輪の落L主
Ⅱ
- 象
- たんぽぽ
- ざりがに
- にせアカシヤ
- 新芽
- 白い金魚
- 生
- 弟
- 家族
Ⅲ
- 花火
- 口のない蝶
- 行方
- モニュメント
- 奥の院
- 海Ⅰ
- 海Ⅱ
Ⅳ
- 情景
- 昼の記憶
- ブーケ作り
- 遠いまなざし
- 土地
- 水汲み
- 意志表示
- 山の息
- 山の火
あとがき