愛ちゃん 小松弘愛詩集

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 1989年11月、花神社から刊行された小松弘愛の第6詩集。

 

 四十年以上も前に死んだ叔母「愛ちゃん」について、一冊の詩集を編む、ということになった。
 「愛ちゃん」の死んだのは一九四六年、敗戦の明くる年で、経済的不如意、加えて人手不足ということもあって、近くの村有地の一画に埋葬された。それを今回、先祖の地に改葬したのである。
 早春の光の中で、「愛ちゃん」の頭蓋骨を手にした時は、何とも名状しがたいものがあり、その思いに私なりの言葉を……、と書きはじめたのがこの連作である。
 墓をあけ、骨を取り出し、それを改めて葬る――これに要した時間は小半日ぐらいのものだったが、「愛ちゃん」にまつわるさまざまな記憶がよみがえり、思うこと、考えることは多かった。そして、死者を掘り出す、ということは同時にわたしの過去を掘り起こすことにもなり、戦争の影をも追うことになった。
 戦争と言えば、村から数キロ離れた飛行場に機銃掃射がかけられていた頃、わたしは国民学校(小学校)で、グラマンに立ち向かう飛行機を夢見て、空中戦の絵を書いたりする他愛もない子供であった。
 当時、娘盛りを治らない病気におかされた「愛ちゃん」が、どういう心をいだいて日々を生きていたか、それを想像するには、わたしは幼なすぎた。

 処女にて身に深く持つ清き卵(らん)秋の日吾の心熱くす

 これは、富小路禎子さんという方の歌だが、このようなかなしみがこの世にあることも知らずに、である。
(「後記」より)

 

目次

  • 山芋掘り
  • 遺跡
  • 養分
  • レンズ
  • コスモス
  • シュークリーム
  • 誘蛾灯
  • ブローチ
  • 乳房

後記


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伊藤整 瀬沼茂樹

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 1971年8月、冬樹社から刊行された瀬沼茂樹による伊藤整の評伝。装幀は栃折久美子

 

目次

序 伊藤整追悼――その全体像

一 詩人としての出発(大正一五―昭和一〇年)

  • 『雪明りの路』『冬夜』=
  • 『一橋文芸』『文芸レビュー』
  • 初期短篇群 
  • 初期文学論

二 作家的地位の確立(昭和一〇―一五年)

  • 昭和一〇年前後
  • 『馬喰の果』『石を投げる女』
  • 『街と村』
  • 『青春』
  • 『霧氷』
  • 『典子の生きかた』
  • 『祝福』『吉祥天女』ほか
  • 『小説の運命』『芸術の思想』ほか

三 戦争のさなか(昭和一六―二〇年)

  • 『得能五郎の生活と意見』
  • 『得能物語』
  • 童子の像』ほか。

四 戦後の出発(昭和二一―二六年)

  • 『少年』ほか
  • 『鳴海仙吉』
  • 『ホオマア物語』
  • 『小説の方法』
  • 『我が文学生活』

五 渦中の人(昭和二七―三〇年)

  • 『裁判』
  • 火の鳥
  • 『花ひらく』
  • 『ヒサ子の生い立ち』
  • 『海の見える町』ほか

六 エッセイスト 伊藤整(昭和二七―三〇年)

  • 伊藤整氏の生活と意見』
  • 『女性に関する十二章』
  • 『小説の認識』
  • 『文学入門』
  • 『文学と人間』
  • 『続我が文学生活』(全集版)

七 昭和三〇年代(昭和三一―四〇年)

  • 『若い詩人の肖像』
  • 『感傷夫人』
  • 『氾濫』
  • 『求道者と認識者』。

八 最後の仕事(昭和四一―四四年)

伊藤整との出逢い――小説・伊藤整
伊藤整略年譜

あとがき


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聖處女 室生犀星

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 1936年2月、新潮社から刊行された室生犀星の長編小説。挿画・装幀は恩地孝四郎

 

目次

  • 帆前船館にて
  • 惡い歴史
  • 正體
  • 獵るひと獵られる人
  • 場末
  • 振子


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少年 伊藤整

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 1956年12月、筑摩書房から刊行された伊藤整の長編小説。

 

目次

  • 少年
  •  一 噓
  •  二 風
  •  三 吿白
  •  四 町で
  •  五 ピストル
  •  六 靑い鳥
  •  七 學藝會
  • 子供暦
  • 玩具の思い出
  • 分敎場
  • 子供暦

あとがき


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名なき日 柚木紀子句集

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 1986年8月、角川書店から刊行された柚木紀子の句集。箱挿画は馬場陽子「陽を抱く女(ひと)」。附録栞は中島斌雄「自然からの手紙」。


目次

序句 山口青邨
序 小川国夫

十指
名なき日
火と
片羽
轆轤の土
火山灰
地上
日の面輪

出会いまで


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