2012年12月、書肆山田から第2版として刊行された季村敏夫の詩集。初版は1996年4月。挿画は宮本隆司”grass2002”。装幀は亜令。
この作品集は十六年前の春、阪神・淡路大震災の翌年にだした。再び送りだすことができ、ひき締まるものを抱く。
災厄のあとの身もだえ、ところがわたしは、いつも遅れていた。ずれた場所で、促されるものに身をまかせてきた。
もがいてきた、そうかもしれないが、世界の実質に触れようと動きまわる胎児の指先、先端のふるえを遠くに見据えた歩みだったようにおもう。
初版の表紙は、間村俊一氏により、人肌の色で塗られた木のテーブルが家として置かれている。テーブルの下の、倒れるまで支えあう脚。おし潰される前の家、日々のすみか、「生まれる前の身じろぎ」とはそういうことだったのかと、十六年経過し、はっとした。
昨日、『災厄と身体――破局と破局のあいだから』の見本三冊が届いたばかり、今また生まれでることの意味、これからかみしめたい。
(「新版へのあとがき」より)
目次
はじまりへ
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- 祝福
- はじめに恥辱ありき
- 月と鸚鵡
- しずけさに狂い
- 凌辱
- いまだあらざりしもの
- 気象
- ゆるされた地上の
- 風になるまで
- 加担
- あなうらの死者
- 夏の衣
- 夜のひまわり
- とある朝
- 六月
- のちのこころ
- 抱擁
- 雨裂
- 死を待つ家具
- 草の身
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- 再び、はじまりへ