1942年4月、小学館から刊行された室生犀星の童話集。装幀は恩地孝四郎、挿画は大石哲路。画像は裸本。
私が童話といふものをかいたのは、ここ一二年のうちでありまして、童話作家としてはまだ國民學校の生徒と同じであります。けれども、私もいよいよべんきやうすれば、きつとおもしろい、ためになるものがたくさんかけることと思ひます。
三吉ものがたり(鮎吉・船吉・春吉)は長いものですが、こんな長いお話もはじめてかいたのです。私はこのお話をかいてみて、おとなのあたまのおくの方に、まだ、たくさん子どものじぶんのことがのこってみることが、よくわかりました。それをだんだんかいてみてゆくつもりであります。
目次
- 鮎吉、船吉、春吉
- 一鮭取り小屋
- 二ぼろ船
- 三船吉のおとうさん
- 四ボール紙の軍艦
- 五きりぎりすの博士
- 六川の王さま
- 七こほろぎ、せみ、はあり
- 八船の中でごはん
- 九春吉の家
- 十二年なまづ
- 十一鮎吉、船吉、春吉の家
- 十二春吉石がき
- おにぎり
- かけすの逃げた話
- ねこのをばさん
- うそつきをぢさん
- 水の中の夏
- くらげとくぢらの話