1970年2月、木犀書房から刊行された大森澄(1914~)の第1詩集。表紙カットは加藤喜夫。木犀叢書6。刊行時の著者の職業は神奈川県巡査、住所は小田原市。
万年巡査とはかわいそうだ
巡査長制度を作るんだと
ある朝の新聞が報じていた
万年巡査
巡査万年
漢文的誇張の万年を長しと改めて
巡査長
勤続三十年
ああ巡査、長かりしと
首長くして待っていたが
蓋があくとおやおや大森巡査長の辞令はなく
万年巡査に据え置きと出た
(「あとがきに代えて(巡査長)」より)
目次
第一部 宵待草
- 宵待草
- ひとりごと
- どぶねずみ
- のらねこ
- 虫
- もぐら
- 雀
- ほととぎす
- 不遇な仲間
- 番犬と愛犬と
- ぜに
- 愚者
- 溺死体の幻想
- 葬式
- 墓
- 折込み広告
- 友
- やりなおしたくない人生
- 元日
- 祈り
- サイクリング
- 山桜
- 春日
- 初めて来た道
- 田舎道
- 夏の夕暮
- どうと言うこともなく
- 旅路
- 夕暮れ
- ある人
第二部 ブタバコ
- ブタバコ
- ある日
- 東北出身の小娘
- ある留置人
- 眼
- 下郎
- 空
- 暗い花
- 兇悪犯罪
- 毒蛾
- 証拠品
- 刑事室で
- 暴風
- 入浴日
- 深夜
- 春の雨
- 女
- 落葉
- 草履
- かつどんとラーメン
- 宿なしの独身者
第三部 小さな冷蔵庫
- 小さな冷蔵庫
- 畠道のパトロール
- 故郷
- 螢
- 伜
- 公休日に
- 布団
- 少女の車掌さん
- 無題
- 喪服
- 東海道五十三次
- 乞食
- 被害者
- ラッパの音
- 新聞配達の小学生
- 野原
- 花の悲しみ
- 椅子
- 挨拶
- バスの中で
- 奥様お手をどうぞ
- この憂うつ
- おけら
宵待草の詩人 木村孝
あとがきに代えて