1974年6月、木犀書房から刊行された大森澄(1914~?)の第3詩集。刊行時の著者の職業は酒匂川サイクリングコース巡回指導員、住所は小田原市南町。
「宵待草」、「娑婆」にいただいた沢山の手紙や、その書評が図書新聞、その他の新聞詩誌等で好評だった時には自分のことのように喜んだ妻だった。その妻をモデルにしたりして書きためておいた短篇小説集を去年出したところ、朝日新聞学芸らん、その他の新聞文芸誌等で好評だったが、妻のように喜んでくれた者はいなかった。そんな妻が偲ばれて妻に関する死後の作品を第一部男やもめに、第二部「古女房」には妻の生前に書いた未発表の作品と「宵待草」、「娑婆」より妻に関するもの八篇を、第三部「どじょう」は、ものはついで、近作を少しのせたものである。この詩集を読んでいただけたら幸甚である。いつも私の詩集を出して下さる木犀書房に深謝します。
(「後記」より)
目次
第一部 男やもめ
- ヘソクリ
- 整理
- ハシゴ酒
- ほころび
- 赤ちょうちん
- 慰められる会
- 幽霊(一)
- 幽霊(二)
- 少女の故郷
- 悲しみ
- 死水
- さかさま
- 妻のきものよ
- 退職
- 停年やもめ
- 芸者
- たび(一)
- たび(二)
- だらく
第二部 古女房
- コロンビア大学
- プチブル
- いさかい
- ハイキング
- 薪買い
- 雨もり
- やりくり
- タバコ
- ぐさい
- 公休日
- あくたれ坊主
- しらが染め
- 退職金をもらったら
- 古女房
- 小さな冷蔵庫
- 公休日に
- 布団
- 喪服
- 反抗期
- 城趾公園の春
- 旅
- 沈丁華
第三部 どじょう
- 田園の春
- かげろう(一)
- かげろう(二)
- ふぐ
- いしぶみ
- ダム
- どじょう
後記