大東亜戦争歌集 日本文学報国会編

 1943年9月、協栄出版社から刊行されたアンソロジー歌集。編者代表は久米正雄

 

 昭和十六年十二月八日、不信橫逆なる米英兩國にして、長くも宣戰の大詔渙發あらせらるるや、忠勇無比なる皇軍の將士は、海に、陸に、空に、敵兵を、敵艦を、敵機を殲滅し、赫々たる武威を四海に登場し、全世界をして震せしめつつあり。
 しかして、盡忠の熱意、護國の至誠の迸るところ、そを和歌に寄せて、應召に際し、征成に方り、或は艦船に、飛行機上に、或は硝煙彈雨、土中水上、或は埜戰病院の牀に橫りてうたへる將士、まことに尠からず。その歌の數夥しきものあり。
 和歌はわが國風、感情の自然の發露、胸奧の眞實の聲なり。されば、古く大伴氏の遠つ祖は、海ゆかばみづくかばねと言立て、菊池武時は、上矢のかぶら一すぢに尊皇の情を抒べき。或は豐太閤の外征にも武將の作傅はり、近く日淸日露の役にも軍人の作多く殘れり。ここに日本文學報國會短歌部會は、短歌報國の一端として、はた國民士氣の昂揚に資すべく、且大東亞聖戰の記念ともせむと、陣亡忠靈の遺作をはじめ、現地將士及び現役將士一般、傷病將士、軍看護婦、軍屬、その他、大御軍に從へる人人の作歌の提供を會員諸氏に請ひしに、作者約二千三百五十人、歌數約二萬五千首の寄稿を得たり。依りて三囘の嚴選を經て、作者二千六十人、採錄の歌三千三百九十八首をもて、これの一卷をば成しつ。
 古者、大伴家持、九州の邊海を守備する防人の作を記し輯めて、之を萬葉に遺したり。今この大東亞戰爭歌集は、大東亞聖戰に於け將士諸君が愛國の熱誠を、千載の後に傅へ、永くその忠功を語るものたらむ。一言を冕すること爾り。
(「序文/佐佐木信綱」より)

 

目次

序文 佐佐木信綱

凡例

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