2017-06-25から1日間の記事一覧

DEEP PURPLE 瀬尾育生詩集

1995年10月、思潮社から刊行された瀬尾育生(1948~)の第5詩集。第26回高見順賞受賞。 これが、私がこの七年間に書いた詩のすべてである。私の中心で私自身として、波のように打ち返されているものがあってもそれは私のものではなく、つぎつぎと私の名で呼…

濾過器 柴田千秋詩集

1989年5月、思潮社からラ・メール選書の1冊として刊行された柴田千秋(千晶)の第2詩集。第5回ラ・メール新人賞を受賞。 あの冬、私が出逢った愛は、はじめる前から壊れてしまっていた。私はただあきらめるためにだけ、その愛をあじめていた。 愛はいつか終…

連作・志摩 ひかりへの旅 稲葉真弓詩集

2014年3月、港の人から刊行された稲葉真弓の第4詩集。 「母音の川」から十二年ぶりの詩集となった。 小説を書く合間合間に、詩の言葉が水滴のように私のなかに溜まり、それが滴る水のように言葉となって降りそそぐ瞬間を、至福の時として味わった。書き下ろ…

望楼 粒来哲蔵詩集

1977年10月、花神社から刊行された粒来哲蔵(1928~)の第4詩集。第8回高見順賞受賞。 春と夏の、僅かばかりの日数の島暮らしも、十年以上もの年月がたってみると、私をまごうかたない島人に仕上げてくれた。竿を担いで、山小屋というか海小屋というかちょっ…

平凡 井川博年詩集

2010年8月、思潮社から刊行された井川博年の第9詩集。 この詩集のタイトルとなった『平凡』は、もとより二葉亭四迷の「平凡」からとったものです。二葉亭にかぎらず今回は、林芙美子、尾崎翠に始まって、小泉八雲、石川啄木、生田春月、佐藤春夫と、とっくの…

待ちましょう 井川博年詩集

1989年8月、思潮社から刊行された井川博年の第5詩集。 ぼくの作品は語彙に乏しく、詩に必要な飛躍したイメージと力強さに欠け、過去の出来事を再生しているだけであろう。しかしぼくは一貫として「情けない詩」を書こうとつとめてきたのである。(「あとがき…

くだもののにおいのする日 松井啓子詩集 

1980年5月、駒込書房より刊行された松井啓子の第1詩集。34年ぶりに、2014年12月、ゆめある社より新装復刊された。 どうしてだろう。お風呂では知らない人にも人見知りせずすらすら話せ、自分を、明るく礼儀正しい人のように感じる。又、もしあの世というもの…