1920年11月、新潮社から刊行されたアンソロジー。編集は島崎藤村、長谷川天渓、有島武郎、片上伸。見返し装画は津田青楓。
一、本書の印税は永久に田山花袋、德田秋聲兩氏に贈呈す。
一、文壇一般の祝意を代表するに小説のみを集餘せるは、もとより偏頗の憾なきにあらざれども、兩氏誕生五十年祝賀會發起人會の協議の結果、兩氏が小説家たるの因縁により、戯曲、詩歌、 評論の類は姑く措き、現文壇に活動せられつゝある小説作家の創作のみに限ることゝせり。
一、作品の排列は原稿到着の順により、何等高下の別あることなし。
一、表紙の見返しの裝畫は、津田青楓氏を煩せり。
目次
- 理學士 島崎藤村
- 途上 谷崎潤一郞
- 雪の夜話 里見弴
- 狂へる妹 中村星湖
- 南京の基督 芥川龍之介
- 山 藤森成吉
- 厄年 正宗白鳥
- 常子の手紙 有島生馬
- 紫の血 上司小劍
- 自信 相馬泰三
- 祭の日 水上瀧太郞
- 白仁氏の一日 谷崎精二
- ある敵打の話 菊池寬
- 祖母 加能作次郞
- 彼の情熱 廣津和郞
- 姉への手紙 吉田絃二郞
- 勞働者の子 豐島與志雄
- 九月㡡 久保田万太郞
- 思はぬ變事 小川未明
- 遼河の夜 江口渙
- 浮世の法學士 宇野浩二
- 身上話 久米正雄
- 良太郞の移轉 水守龜之助
- 遁走 葛西善藏
- 夏籠 室生犀星
- 馬 中戶川吉二
- 出發 加藤武雄
- 初しぐれ 近松秋江
- 初年兵谷川 細田民樹
- 山上 田中純
- 死人のかをり 白石實三
- 盜まれた白鳥の話 佐藤春夫
- 卑怯者 有島武郞