1982年3月、新潮社から刊行された西川祐子(1937~)による高群逸枝(1894~1964)の評伝。装画は杉全直。
目次
序章 甘やかな森をたずねて
- 森の家
- 一九三一年の分割線
- 一九四五年八月十五日
第一章 火の国
- 夢みる才能
- 手づくりの文集
- 言語能力
- 天才か老成か
- 思い出の村
- 戻り橋
- 村の女教師
第二章 四国遍路・人生最初の旅
- 山を下りる
- 「都会は汚辱の沼」
- 自由を求める心
- 同行ふたり
- 寓意(アレゴリー)の島
- 旅のやつれ
- 旅の果てに残されたもの
- 書くことは再び旅すること
第三章 『東京は熱病にかかっている』
第四章 家出の後
- スキャンダル
- 真昼時つかまへられ
- 新女性主義――平塚らいてうの精神的娘
- 農民自治会婦人部――「作った者に米を食わせよ」
- アナ・ボル論争 た蛙かな
- 「家出の詩」
- 「婦人戦線」に立つ
- 「家庭否定」号と嫉妬心論争
第五章 女性史学事始め『母系制の研究』
第六章 森の闇
- 象徴の森
- 著作後援会の発足
- 『母系制の研究』と人垣
- 戰時下へむけて、『女性二千六百年史』
- 戦争協力の「日本婦人」連載
- 下中弥三郎との比較
- 八月十五日、慟哭と祝宴
第七章 『招婿婚の研究』の十五年
- 白熱の季節
- 招婿か聟入か
- 資料の宝庫
- 鉱夫のごとく
- 「自然」対「制度」
- 「自然」の凋落
- 連綿の糸を紡ぐ老媼
第八章 終りのうた
- 五木の子守唄かえうた
- 『女性の歴史』――重層文化とマグマ
- 高群の戦後
- 汽車と新聞と大衆と
- 森の家跡にて
あとがき