自解100句選 飯島晴子集

 1987年12月、牧羊社から刊行された飯島晴子(1921~2000)の100句選集。装幀は伊藤鑛治。

 

 作者は自作一句について、その入口を話すことはできる。入口を知っているのは作者だけである。しかし、一句が何処へ出たかについては、作者もまた読者以上に何を知っているわけでもない。作者も読者の一人に過ぎない。作品が最後に出た処は、読者それぞれによって微妙に、或いは大変に違う。つまり俳句は、他人に読んで説明してもらうことはできないのである。そこが俳句の面白いところでもある。
 だからこの百句についても、入口だけを書くように心掛けた。この外にも愛着の作品はあるが、それはもはや入口すら思い出せないので、書くすべがない。どうしても、書きやすい句を選ぶことにはなった。ただ、入口の千差万別の様子は、俳句に日の浅い人に参考になるかと思う。俳句は、いつどこから降って湧いてくるかわからない。
 この本をまとめてみると、約半数が、いろいろの仲間に誘われることがなければ存在しなかった作品である。機会を与えてくれた俳句仲間の有難さが身にしみて思われた。
(「あとがき」より)


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