北の詩人たちとその時代 永井浩

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 1990年1月、北海道新聞社から刊行された永井浩(1929~)の北海道詩人評伝。カバーは萩原勇雄。著者は後志管内島牧村生まれ。

 

 本書は、「北海道戦後詩史」というタイトルで、一九八九年一月四日から七月二十九日まで百回にわたって北海道新聞に連載したものに、補訂を加えたものです。
 昭和という時代は、太平洋戦争敗戦の二十年(一九四五)八月十五日を境にして、政治的には百八十度の変容をしています。詩の上でも、変容を必要とする多くの問題を内包していたと思われますが、北海道における戦後の詩は、いわば〈戦争期〉への反省に立って、<戦前>を否定するところから出発しているとみることができます。
 殊に〈戦争〉という時代状況に深い関わりを持つ世代である戦前派、戦中派、さらに戦後第一期新人群に属する詩人たちが、戦争と詩の問題、さらには戦後の現実、状況に対して詩の上でどのような論理的対応関係をつくりあげていったか、という主として精神的な側面に焦点をおいて検証を進めてみましたが、昭和の終焉にまでその手を伸ばすことができたことから、期せずして、北海道における戦後の詩と詩人の生成と動向についての総括になったように思います。
(「あとがき」より)

 


目次

はじめに

第1章 詩誌の誕生

  • 1 「野性」 
  • 2 「木星」の復刊 
  • 3 「情緒」
  • 4 「日本未来派」 
  • 5 「至上律」 
  • 6 「青芽」
  • 7 「詩潮」「霧笛」など 
  • 8 「だいある」

第2章 流亡の詩人たち

  • 1 百田宗治 
  • 2 鷲巣繁男 
  • 3 三谷木の実
  • 4 牧章造
  • 5 日塔聰

第3章 戦中、戦後第一期新人群の活動

  • 1 三つの世代 
  • 2 「心象」と「道標」 
  • 3 「亜寒帯」 
  • 4 「詩人種」  
  • 5 「ATOM
  • 6 「コロポックル」と「亜寒帯」 
  • 7 「感情以後」と「茴」 
  • 8 「北方詩人」 
  • 9 「フロンティア」
  • 10「OMEGA」。
  • 11「異風土」 
  • 12「MARINE GLASS」 
  • 13「熔岩塔」と「雑草園」 
  • 14「燠」 
  • 15「眼」 
  • 16「先列」

第4章 揺籃期の詩集

  • 1 「雪国天女」と「湖畔の人」 
  • 2 「木星」同人たち
  • 3  更科源蔵と和田徹三 
  • 4  今井鴻象と阿部保 
  • 5  戦時下の抒情詩
  • 6  戦中派と河邨文一郎 
  • 7  戦中派の共通性
  • 8  第一期新人群の源流
  • 9  第一期新人群の命題 
  • 10 第一期新人群の傾向
  • 11 合同詩集 
  • 12 北海道詩集

第5章 多様な展開

  • 1 「詩人協会」創設
  • 2 「湾」創刊
  • 3 「核」創刊 
  • 4 「詩の村」創刊 
  • 5 「扇状地」創刊 
  • 6 「原人」と「かばりあ」の創刊 
  • 7 「ボエミアン」と「洲」の創刊 
  • 8 「童貞」と「接点」の創刊 
  • 9  第二期新人群の特色
  • 10 女性だけの詩誌 
  • 11 「ゴウ・オン」と「詩人会議」の創刊
  • 12 詩話会活動

第6章 転換期の詩集

  • 1 戦前派とリアリズム 
  • 2 戦前派と抒情詩 
  • 3 戦前派とモダニズム
  • 4 戦中派の特色 
  • 5 戦中派の開花 
  • 6 第一期新人群の進出
  • 7 第一期新人群の意義 
  • 8 第一期新人群の言語活動 
  • 9 第一期新人群の原点
  • 10 第二期新人群の進出 
  • 11 合同詩集

第7章 成熟と停滞

  • 1 四十年代初期の詩誌
  • 2 北海道文学展
  • 3 第二期新人群の進出
  • 4 第二期新人群の個人詩誌 
  • 5 第二期新人群の同人詩誌
  • 6 第二期新人群の世代的意義
  • 7 戦前・戦中派の活動
  • 8 第一期新人群の詩誌
  • 9 カルチャーセンター
  • 10 六十年代の詩誌 
  • 11 昭和の終焉

第8章 成熟期の詩集

  • 1 戦前派の詩集 
  • 2 抒情詩の終焉 
  • 3 戦中派の詩集 
  • 4 第一期新人群の詩集
  • 5 第二期新人群の詩集
  • 6 戦後出生世代の詩集 
  • 7 合同詩集

第9章 評論活動

  • 1 詩誌の評論 
  • 2 北方文芸 
  • 3 評論集
  • 4 論争「北海道=ヴェトナム詩集」 
  • 5 「北海道詩人協会」解体論争
  • 6 〈戦後詩〉とは 

あとがき

 

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