1987年8月、作品社から刊行された桐山襲のノンフィクション。
小説「パルチザン伝説」は、一九八三年秋、右翼の圧力により、単行本化を中止された。その後、わたしたちは、八四年六月、『パルチザン伝説桐山襲作品集』の刊行を果たした。以来三年余、その間、同書の刊行をめぐって様々な揣摩臆測が為されてきた。多くの同様の事件がそうであるように、時の経過とともにその意味が歪曲され、歴史の闇の中に葬り去られてしまう。故に、現時点において広く公けの場で全経過の真実を明らかにすることは、わたしたちの責務であると考える。
ここに、若き読者の協力を得て、作者との対話というかたちで、この事件の経緯を記録することができた。本書が、真の<表現の自由>の形成という長い里程の中で、ささやかな一歩となれば幸いである。
尚、作品の発表や一連の事件に関して、それぞれどのような報道、発言が行なわれたかという叙述を補助するため、当時の新聞記事、批評、コラムなどを、別途に資料として収録させていただいた。
(「まえがき/刊行委員会」より)
目次
まえがき
- 第一章 前史
- 第二章 83.9.29
- 第三章 後退、そして六月
- 第四章 幕のおりてから
- 第五章 結果と展望
日誌
資料