1999年11月、新潮社から刊行された岩本修蔵(1908~1979)の評伝。装画は浅野隆弘。著者の岩本隼(1941~)は次男。
詩人というのは、変な人種です。
そんなのを父親に持ったセガレは、実業家や商店主や百姓や漁師や土木作業員を父親に持った人間とは違った、妙な人格形成を強いられるに違いありません、その父親がホントの詩人なら。
で、不幸なことに、ぼくはその一人でした。言葉と世界と生活と恋のシャワーを浴びせられつづけて、濡れっぱなし、休まるときがありません。だから、こんな文章を書いたのです。
書き終って、それで詩人の呪縛から解放されたのかというと、決してそうはならないところが、詩人の怖い、執念ぶかいところなんです。(「あとがき」より)
目次
- 路地裏の梅咲く家
- 三角形の太陽
- これが日本の都会だな
- 青の秘密
- 若き父
- ハルビン
- 満州離散
- マルシャンスクのビール
- パンポエジイ
- 女流詩人
- ヨーロッパの笑いの中で
- 生活の笑いに風吹く寒さ
- 葵の家
- 春のピアノ
- 十二人の女
- その冬一番寒い日
- 詩人の死
あとがき