ぼくの父は詩人だった 岩本隼

f:id:bookface:20170818214620j:plain

 1999年11月、新潮社から刊行された岩本修蔵(1908~1979)の評伝。装画は浅野隆弘。著者の岩本隼(1941~)は次男。

 

 詩人というのは、変な人種です。
 そんなのを父親に持ったセガレは、実業家や商店主や百姓や漁師や土木作業員を父親に持った人間とは違った、妙な人格形成を強いられるに違いありません、その父親がホントの詩人なら。
 で、不幸なことに、ぼくはその一人でした。言葉と世界と生活と恋のシャワーを浴びせられつづけて、濡れっぱなし、休まるときがありません。だから、こんな文章を書いたのです。
 書き終って、それで詩人の呪縛から解放されたのかというと、決してそうはならないところが、詩人の怖い、執念ぶかいところなんです。(「あとがき」より)

 

目次

  • 路地裏の梅咲く家
  • 三角形の太陽
  • これが日本の都会だな
  • 青の秘密
  • 若き父
  • ハルビン
  • 満州離散
  • マルシャンスクのビール
  • パンポエジイ
  • 女流詩人
  • ヨーロッパの笑いの中で
  • 生活の笑いに風吹く寒さ
  • 葵の家
  • 春のピアノ
  • 十二人の女
  • その冬一番寒い日
  • 詩人の死

あとがき


書評等
「ぼくの父は詩人だった」(四季・コギト・詩集ホームぺージ)

NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

未明の構想 北川透評論集

f:id:bookface:20170818214143j:plain

 1982年10月、白地社から刊行された北川透(1935~)の第13評論集。カバー装画は倉本修

 

「一九六八年詩誌評」は、〈大学闘争〉で、社会が揺れだす時期の、『現代詩手帖』一年間の時評である。時代的な流れに引きずられて、いまから読むと恥ずかしいようなことばや論点が幾つか含まれているが、それは時評という表現の領域が避けられないものにしているものだと思う。時評的な仕事は、わずらわしさもあり、苦しさもあるが、現代詩の尖端的動向に対する、絶えざる刺激と緊張感がある。時評的な仕事自体は、いつもしている必要はないが、そういう緊張感は失いたくないと思う。この時期は、『あんかるわ』を同人誌から、わたしの個人編集の雑誌に切りかえて、ほぽ一年後であった。自分の編集発行する雑誌をこれからどのような方向へ展開させていくのかが、この詩誌評を支えるかくれた私的モティーフである。そのことだけを、これについては註記しておきたい。(「本書成立に関する覚書」より)


目次

I抵抗についての断片

  • 抵抗についての断片――竹内好粗描(1)(2)
  • 宮沢賢治『農民芸術概論』をめぐって
  • 不可能性の〈闇〉ヘーー埴谷雄高『闇のなかの黒い馬』について
  • 老婆は実在したか--大江健三郎の根拠

Ⅱ未明の構想 一九六八年詩誌評

  • 一月《理想》の構想
  • 二月体制内的言語の発想について
  • 三月言葉の裏切り
  • 四月〈中心志向〉をめぐって
  • 五月日常語の稽古
  • 六月かくされている私
  • 七月生産原点とは何か
  • 八月体験の意味
  • 九月憤怒のメタフィジック
  • 十月ことばのやちまた
  • 十一月疑いの先端はいつも裂けている
  • 十二月反運動の逆流を発条として自立へ


Ⅲ塵哀集 私的感想・発言

  • ある怒り
  • オレは関係ないよ―――映画『帰って来たヨッパライ』について
  • 〈詩になにができるか〉をめぐって
  • 私が影響を受けた戦後の書30冊
  • 故郷の変貌
  • 或る交友圈について――神谷一郎の死
  • 花火の傘
  • 自由と自然の共有――芭蕉円空
  • 「弾道」について――あるいは丸山薫忌のこと
  • 修学旅行再遊
  • 欠如に輝く日々

Ⅳ〈詩の原理〉へのノート

  • (一)文学効用論の原像/(二)〈精神の自由〉の概念/(三)内部生命の転回/(四)詩を〈必要〉とする根拠/(五)〈近代的なるもの〉の批判/(六)口語自由詩の出発/(七)非所有へのあこがれ/(八)詩における口語使用の不満感/(九)階級概念による詩人論/(十)近代抒情詩の内的論理/(十一)近代の崩壊と自我/(十二)非ナショナルな詩学/(十三)血統と言霊の論理/(十四)「国家」を不問にした近代の否定

本書成立に関する覚書


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

野の舟 清水昶詩集

f:id:bookface:20170818213516j:plain

 1974年8月、河出書房新社から刊行された清水昶(1940~2011)の第6詩集。装画は駒井哲郎(1920~1976)、装幀は田辺輝男。

 

 わたしが詩を書くときに、いつも衝きあたらざるをえなかったひとつのものは恐ろしいまでに単独な精神の位相のあり方についてでした。可視の世界を奪われてなお、深く暗い夢の底へと、たったひとりで転落していくような感覚、とでもいったらよいでしょうか。そのことは詩の問題を越えて、つねにわたし自身の生き方とするどく交差してきます。
 詩を書きはじめてから十年と少し、世間のさざ波の上をひっそりと揺れて、ここまでながれつきながらも自分でも驚くほど変ったと思いますが、一点、変るべくもないものは精神の飢餓地獄ともいうべきものです。わたしがまだ京都で大学生であった頃、ある詩人は「いま限の前にあるのはまるで昼のような夜、精神の白夜」である、といっています。あれから十年あまり経ったいま、わたしの「精神の白夜」は、夜らしい夜、あるいは朝らしい朝のちからを求めつづけたまま、ますます不眠の日々に荒涼と冴えわたっているかのようです。(「あとがき」より)

 

目次

  • 闇の中から
  • おれたちは深い比喩なのだ
  • 病気
  • 聖五月祭
  • 二〇歳
  • 少女Mの死
  • ひまわり――冬の章
  • 死の年代記
  • 遠い血のために
  • 野菊
  • 背中だけの男
  • 朝焼けの日に
  • 血縁紀行
  • 野の人よ白夜に眠れ
  • ひまわり――夏の章
  • 素足で歩いてきた者の伝説
  • 暗夜への旅
  • 野の舟

あとがき

 

NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

水盤の水 栗原澪子歌集

f:id:bookface:20170818213055j:plain

 2007年11月、北冬舎から刊行された栗原澪子(1932~)の歌集。

 メモ帖、日記帳、読みさしの本の欄外などに走り書きしたまま、長く放置してきた三十一文字を、集めてみる気になりました。半分がたは行方不明、また集め得たその多くも反故同然といふ、つまりさういふレベルの心覚えなのでした。
 ただ、レベルはどうあれ、自分の生きた「時々の記録」として、いちがいに捨て去り難い思ひがありました。(「あとがき」より)

 

目次

一九七〇年代

  •  渇ゑ
  •  街ゆき
  •  農政書読みつつ
  •  ルナールの日記

一九八〇年代

  •  追はれる日々

一九四六年-一九五八年

  •  十代の歌 ひとりの姉と
  •  桐のはな
  •  うつろなる毋

一九六〇年代

  •  開園
  •  園祭り
  •  いとけなき同志
  •  認可
  •  さくら組
  •  『エルマーの冒険』

一九九〇年代

二〇〇〇年以後

  •  『国史美談』
  •  「マリアナ海戦」を観て
  •  対テロ
  •  水盤の水
  •  陽を残すシャツ
  •  花終へて

あとがき


Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

はるひ夢幻集 芦原修二短編小説集

f:id:bookface:20170818212618j:plain

 1975年6月、吟遊社から刊行された芦原修二の短編小説集。装幀は宿谷志郎。

目次

  • 石ふたつの村
  • 川の青、海の石。
  • 嘆きがらす
  • 幻の雪山
  • びいどろ
  • 青木ガ原
  • メロン石周辺
  • 五月は球体月
  • 陸のイルカ
  • 白揚羽


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

血と野菜 天沢退二郎詩集

f:id:bookface:20170818212311j:plain

 1970年9月、思潮社から刊行された天沢退二郎(1936~)の第5詩集。装幀は宇佐美圭司(1940~2012)、写真協力は角田幸市。

 

目次

  • 創世譚
  • パリ生れ
  • 降下主題
  • 芝居
  • 伝説と捜索
  • 鬼語
  • ベニカルロ
  • わが断食週間前のものがたりのあらすじ
  • 羮(あつもの)
  • (あかんあかん)
  • 時間紀行のためのエスキス
  • 男の勝負
  • 戦争ごっこ
  • 血と野菜あるいは精進西部劇
  • 予言使
  • われら3人兄弟 (イラストレーション加納光於)
  • 姫づくし
  • 風呂屋譚
  • 旅無旅譚
  • 早世譚

おぼえがき


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索

ラッキョウの恩返し 平田俊子詩集

f:id:bookface:20170818211615j:plain

 1984年5月、思潮社から刊行された平田俊子(1955~)の第1詩集。装幀は菊地信義、挿画は山口順子。付録は『ラッキョウの恩返し』手帖。「怪奇小説のすすめ」(中井英夫)、「他界からやって来る言葉」(吉増剛造)、「日付のある詩論」(平田俊子)。


目次

  • 戻り水
  • ラッキョウの恩返し
  • そうじの科学
  • 鼻茸について
  • プランB
  • 田園
  • 星の柩
  • 薬屋の娘
  • 汽車
  • 長芋
  • 人参
  • 猫薬品
  • 鱗のいる街
  • いたずら
  • わかめ
  • 遊泳
  • 僕たちのユウウツ
  • 密売
  • 御器かぶり
  • はがき
  • 宇宙の細胞
  • 血を洗う
  • 聖王
  • 誠商事

あとがき


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索