1967年6月、半どんの会出版部から刊行された小林武雄の詩文集。装幀は貝原六一。
目次
詩集・否の自動的記述
- 第一歌
- 第二歌
- 第三歌
- 第四歌
- 第五歌
- 第六歌
エッセイ・一箇の料理人
- Ⅰ
- Ⅱ
- Ⅲ
- Ⅳ
解説 廣田善緒
とべない蛇
あとがき
1976年8月、八坂書房から刊行された壺井繁治(1897~1975)の遺稿詩集。
この詩集は、壷井繁治氏の十五冊目にあたり、これがさいごとなった。詩人は、生前この『老齢詩抄』を出版すべく自身の手で二種類の作品リストをつくっていた。
共通して選ばれていた作品は十四篇で、――いずれの場合も配列のさいしょに「熊」が選ばれていた――多分、あとで追加されたとみられる作品は「新緑の林の中の赤い風船」「丘の上の野仏」「アドレスのない手紙」の三篇で計十七篇。そのリストをつくったときにはずされたのではないかとおもわれる作品は「柿の木異変」と「一本の立木」である。
本詩集を編むにあたっては、さいごの詩集となったため、その二篇を加えるとともに、制作目録の中から詩集の題名をそこなわないものとして「神サマ」「小景」「ある銅像」「黒い鳥」「無題」「消えぬ雪」の六篇を追加、全二十五篇とした。「神サマ」は、必ずしも題名に添うとはおもわなかったが、いかにもこの詩人の作品として欠かせない含蓄のあるものなので冒頭に配列した。
全体の配列にあたってはリズムの統一を考慮した。おおまかにいって、たとえば、前半の部分では「老人」の目を通しての批評精神の横溢したもの、後半では、どちらかといえば「死」をじっとみつめているものといったような。つまり、動的なものから静的なものへのリズムの変化を考えた。
なお、前詩集『奇妙な洪水』と重複する作品が二、三含まれているが、詩人の作成したリストにはいっていたものであり、ここではその遺志を尊重した。また、詩集の題名は原稿のままとしたが、本文中の漢字はすべて常用漢字に直すことにした。
詩人として、また民主的な詩運動家の先達としておおきな業績を残された壺井繁治氏のさいごの詩集が、一人でもおおくの方々に読まれることを念願してこの文を終えることにしたい。
(「編集後記/編集委員一同」より)
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編集後記