1959年7月、昭森社から刊行された谷沢辿(1931~)第1詩集。
初めて知り合つた頃の谷沢君は、まだ十代の板金工だつたが、それからもう十年ちかくが過ぎてしまった。その間、彼は豊田ボディー工場の一員として成長しながら、同人誌「青い花」にたゆまず詩を書きつづけてきた。旅の車窓に大工場の屋根や煙突を望むときなど、私はよくそこの原野の空間に、谷沢君の無口で生真面目な貌を思い浮べることがある。(丸山薫「序」より)
目次
序 丸山薫
- 噴火
- 雨の中の噴火
- 祝日
- 火吹竹
- 酸素溶接
- 焼入
- 小さな火事
- 火事を見る人
- 炎と夢
- 鏡
- 繃帯のない病院
- 夏至
- 窓
- その前夜
- 友松雪
- 北の女
- 姉
- 夏
- 秋
- 木枯
- 譲歩の限界
- 獅子の孤独
- 五月
- 後日における話題
- 変身
- 豚の足
- 解説”熊”
- 挽歌
- 傍観者
- 白昼幻想
- 元素発見
- バラのとげに刺されたリルケ
- 縛られた男
- 枕を夢む
- スムースな経過
- 河豚の征服
附記