1966年1月、思潮社から刊行された沖浦京子の第1詩集。著者は1964年現代詩手帖賞を受賞。
一日示して云く、吾れ在宋の時禅院にして古人の語録を見し時、ある西川の僧道者にてありしが、我に問て云く、語録をみてなにの用ぞ。答て云く、古人の行李を知らん。僧の云く、何の用ぞ。云く郷里にかえりて人を化せん。僧の云く、なにの用ぞ。云く利生のためなり。僧の云く、畢竟して何の用ぞと。〈正法眼蔵随聞記第二〉
僧が廊下をふいている
雪がふっている
その雪が廊下にふりかかる
ふりつもった雪を僧がふいて過ぎる
僧が廊下をふいている
いつまでも雪がふっている
長い廊下を僧の裸足が走っている(「あとがき」より)
目次
I 惨事
- 愛
- 惨事
- 群集
- こえ
- 問答
- 幻想・アントニウス
- 核心
II ながら風景
- 野菊
- 盛夏
- なぜ 黙っているのです
- 死んだ子を中に私とあなたと
- ながら風景
- さみしい犯罪
- 肉への祈り
- 何処へ
- 帰命頂礼
- 濃淡
- 曇天
解説 清水康雄
あとがき