虚 橋閒石句集

 1985年4月、現代俳句協会から刊行された橋閒石(1903~1992)の句選集。現代俳句の100冊35。装幀は上口睦人、写真は田沼武能

 

 前記「虚の意味するもの」において、私はまず、この句集を編むに際してとった方針のことに触れた。それはまた、そこから生じた不体裁に対する弁明でもあったわけだが、これもまた止むを得ない事だったと思う。もしかりに、既刊の作品集すべての中から、各時期に応じて句数を分して収録するとなれば、あまりにも散漫になって、考えようでは、却って不親切な展示といった印象を与えかねない。それよりも、むしろ、最近二十年たらずの期間に殊更なる比重をかけた方が、現在の私の在り方を伝えるのに最も適切だろうと考えた。
 『和栲』を上梓したのは昭和五十八年二月、まさに八十の齢に達した折のことであるが、それから一年半を経た今日、この先変貌するかしないかは別として、或る意味ではやはり一つの締め括りをつけておく必要があるように思われる。それがこのたびの句集の動機なのである。
 解説の執筆については、かねて親しい杉本雷造氏におねがいしたところ、身勝手な甘えにも拘わらず、繁忙のなかを快く引き受けて頂いた。なお刊行に直接お力添え下さった村井和一氏、田沼武能氏そのほかの方々にも深く感謝する。
(「あとがき」より)

 

目次

  • 『荒栲』以前
  • 『荒栲』抄
  • 『卵』抄
  • 『和栲』抄
  • 『和栲』以後
  • 虚の意味するもの

解説 橋閒石句集『虚』と無何有(むかう)の郷(さと) 杉本雷造
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あとがき


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