夏帽子 西村和子句集

 1983年5月、牧羊社から刊行された西村和子(1948~)の第1句集。装幀は山崎登。現代俳句女流シリーズⅣ・24。若葉叢書第237篇。著者は横浜生れ。刊行時の住所は横浜市戸塚区。

 

 句集を作るという事は、船を出すようなものだと思った。昨日までに作ったものしか積荷には出来ないのだ。――いつかは句集を作りたい。その時には今まで作ったもの、これから作るはずのものを沢山載せたい――句集出版を遠い将来の事として夢見ていた私にとって、この当然の事が、ちょっとした発見だった。その事に気づいてからというもの、今を大切に、今を詠んで行くしかないのだと改めて思った。今、乏しい過去の積荷を載せて出航するこの船が、これからどんな軌跡を辿るのか、どこの港に迎え入れられるのか、或いは永遠に海を漂う事になるのか、気がかりな事ではある。が、船を見送る私には、今この時からの思いを、新たに詠み続けて行く事しか出来ない。
 句集の題名は、先年「若葉」艸魚賞受賞の際、清崎敏郎先生から頂いた、

 

母と子の母の大きな夏帽子 敏郎

 

から頂戴した。子供が幼稚園に上る以前、よく吟行に連れて出かけた頃の、思い出深い句だ。十八歳の頃から、いつも変わらず深いまなざしで見守って下さった先生に、心より感謝申し上げると共に、これからの精進を誓いたい。
(「あとがき」より)

 

 

 

目次

序文 清崎敏郎

  • 月見草 昭和四十一年~四十七年
  • 青胡桃 昭和四十八年~五十三年
  • 白南風 昭和五十四年~五十六年

あとがき


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