1973年10月、角川書店から刊行された石川桂郎(1909~1975)による俳人評伝集。函絵は小島直。第25回読売文学賞(随筆・紀行賞)受賞。
「行乞と水」は牧羊社の「俳句とエッセイ」に書き、他の十篇は角川書店の「俳句」に連載した。当時、病床にありがちだったので、いくどか途中で筆を投げようとしたが、「俳句」の編集者室岡氏が承知してくれなかった。いま思うと、氏の励ましがなかったら『俳人風狂列伝』は1本にまとまらなかったであろう。連載中、永井龍男先生から「読んでいて、わからないところがあったよ」と、ご注意があった。私は私なりに、それがどの部分か考えに考え数個所書き改めたつもりである。
資料を心よく提供していただいた先輩の厚意は本文中に述べているが、知名の俳人から寄せられた文書を資料としたものもある。
あらためて読み直すと、書き足りないものばかりだが、大事な資料は、書き終るとすぐお返ししているのでいまさら手のくだしようがない。
装画の山頭火の「足」は、私の親友である小島直氏が心をこめて描いてくれた。(「あとがき」より)
目次
- 蛸の脚〈高橋鏡太郎〉
- 此君亭奇録〈伊庭心猿〉
- 行乞と水〈種田山頭火〉
- 靭かずら〈岩田昌寿〉
- 室咲の葦〈岡本癖三酔〉
- 屑籠と棒秤〈田尻得次郎〉
- 葉鶏頭〈松根東洋城〉
- おみくじの凶〈尾崎放哉〉
- 水に映らぬ影法師〈相良万吉〉
- 日陰のない道〈阿部浪漫子〉
- 地上に墜ちたゼウス〈西東三鬼〉
あとがき
書評等