1979年11月、みちのく印刷から刊行された山佐木進(1943~)の第1詩集。
つんのめるように生きていた青春の時からいつか詩集を出さなければと思っていた。
だがいざ実際に詩集を編む段になると、なんとなく気恥しい気がしてならない。
詩集を出すことによって一つの区切りをつけ、新たなものの中へ歩みだせるからと自分に納得させてはみたが、やはり詩集を出すことに赤面をおぼえずにはいられない。
自分にとって、古いとか新しいとか現在の詩の傾向とか、そういったものはいつも問題ではなかった。それよりも、自分の言葉が夢見がちであるかどうか、夢見がちにさせてくれるかどうか、それだけがいつも気になっていた。私は不器用だから、どんなふうにして他者と交わっていけばいいのかわからない。
”愛し方がわからなくて、うれいがちだった少年を思い出す”と以前書いたことがあった。今に至るもそれは変わっていない。
自分の生か他者の生を活かす。そのようであったら素晴しいと思う。詩を書く自分の行為も、そうした深みから出てくることを願わずにはいられない。(「あとがき」より)
目次
- 凶花
- 刀
- コオロギの初恋
- かすみ網
- 柿
- 麦
- いのち
- 挿話
- 朝顔
- 虹
- めざめ
- 蛾
- 燐寸
- 傘
- 夏夢
- 三月
- あじさい
- コスモス
- ようなの歌
- 出会い
- 秋の幻影
- 共鳴音・練習(Ⅰ)
- (Ⅱ)
- 髪の話
- 十円の罰
- 道
- 橋
- 物語
- 手袋
- 森影
- 新年
- 離島より
- 風景
- セールスマン
- つぶやく
- 旅
あとがき