1980年6月、青磁社から刊行された香川弘夫(1933~1994)の選詩集。著者は岩手県生まれ、刊行時の職業は時計店店主、住所は岩手県二戸郡。人間詩集5。
二十数年、詩らしいものを書いて来て、詩集も三冊出して来たが、こんどそれらと、近作を含めての選詩集を、青磁社の御好意で刊行することになった。それについては、これを機に特にどうのこうのという心づもりがあるのでもない。ただ前詩集「白い蛭―」「猫の墓」は小部数しか出さなかったので、最近それらの旧作も読みたいという声(その声は実際に私自身の幻聴かも知れない)もあったので、それなら一冊にまとめて読んでもらおうという気持からである。
私はいま、己れの作をふり返って自選して見て、あまり「死」にこだわりすぎて来たのではないかという気がしないでもない。作品の中であまりに人を死なせすぎて、その報いがいずれ何処からかやって来るような――。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
Ⅱ
- 猫の墓
- ウパタ村村長の挿話
- 弔い覚書
- 来歴
- わが津軽街道
- 夏に
- 十二月のうた
- わが晩秋
- 冬の村より
Ⅲ
- 白い蛭のいる室
- 眠れぬ夜の子
- 夏姿の薔薇夫人
- 豚
- 佇む
- ぺすとの街
- 河のうた
- 少年の恋唄
- 山で語る
- 唄
- 何を今さら
- 夜を食う
- 茸を食う
- 太鼓の詩
- 冬の小路の物語
解説 駒井耀介
あとがき