津沢マサ子俳句集成

f:id:bookface:20181025172809j:plain

 2006年12月、深夜叢書社から刊行された津沢マサ子の句集。

 

 一九四六年十月二五日、生まれて初めての句会に出席してから、二〇〇六年の今日までの大凡六十年、なんらかの形で俳句形式に関わりをもってきたことに気付き、生あるうちに全句集をまとめたいと思い立った。
 そして、それならば第一句集からお世話になっている深夜叢書社にお願いしようということになり、この日へ漕ぎ付けることができた。人間というより生きものの生命に限りがあることをこの一、二年ひそかに、また痛切に感じはじめていたことも理由のひとつであるが――。
 今、こうしてペンをとるとき、俳句を書くことを基本からお教えいただいた、高柳重信先生のことがまず思い出される。高柳先生にお会いすることがなかったら、と思うとき、只々、頭を垂れて感謝の念いを捧げるばかりである。また、すでに鬼籍に入られた、後藤是山、桂信子、佐藤鬼房、鈴木六林男、三橋敏雄、そして、西東三鬼、三橋鷹女、高屋窓秋、そして、多くの諸先生、先達の方々に頂いた、或る日、或る時の一語一語に、私の魂は学び、励まされ、支えられてきたことと同時に「俳句評論」を辞したあと作品発表の場(「連衆」)を提供して下さった谷口慎也さん、そして松岡貞子さん、宇多喜代子さんの三十有余年に亘る変らぬ友情を深い感謝の念と共に申し上げなければならない。
 また、大事なことに若き日の未熟な私の作品に眼を止めて句集出版をおすすめ下さった深夜叢書社主の齋藤慎爾さんとの出会いが、私の俳句を書く上に於いて重大な意味があったことを今痛切に感じている。すべては、人との巡り合い、出会いによってその人の人生は造られていくことに改めて思いを致すものである。
 俳句を書くことは確かに孤独な営為にちがいないが、〈人間は誰に出会うかによってその運命は決定される〉とお教え下さった、高柳重信先生の言葉をいま熱く思い返す。顧みて、私は多くの方々との出会いによって俳句形式とかかわってくることができ、そして句集を出すことができた。只、感謝でいっぱいである。それから、作品の並列は逆年順のものもそのまま句集通りに再録した。
(「あとがき」より)

 

目次

  • 楕円の晝
  • 華蝕の海
  • 空の季節
  • 風のトルソー
  • 0への伝言
  • 『0への伝言』以後

自筆年譜
あとがき


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索