1973年8月、国文社から刊行された水木俊子の第1詩集。
詩を書き始めてから十年余り、その稚い十年間の作を一度まとめては? と奨められたのを機会に、こんな風にまとめてはみましたが、まとめてみてあまりの貧しさに、今更ためらっております。
でも、このへんで一区切りをつけて、又新しく道をさがしに出発のもいいのではないかと思えて、思いきってまとめてみました。
奈良に何度か行くうちに、あの凄惨な歴史の中で生まれた仏像の美しさに心惹かれるようになりました。毎日の生活の中で、人の心の在りように疲れたとき、いつか私は一匹の蝶になり、飛鳥の野をめぐるのです。
そんなとき、悠久の時の流れを超えて、何かに祈らずにはいられない人間の弱さ、悲しさをかいま見ることができるような気がするのです。
これからも、この見ることの重さに耐えながら、きっとこの道を歩き続けることになるだろうと思います。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
Ⅱ
- 男と女
- モノローグ
- 振幅
- 予感
- 夜の亀裂
- 波
- 菜穂子に2
- 海
- 菜穂子に1
- 神さまの話
Ⅲ
- 秋2
- 秋1
- 待合室
- 廃墟
- 沈黙
- 牛
- 倉敷民芸館にて
- しあわせ
- たそがれ
- 聾少女に
- はまなす
- マリン・スノー
あとがき