1980年4月、編集工房ノアから刊行された「流域の会」詩人のアンソロジー。
瀕れば「流域の会」の生い立ちは一七年前、一九六三年のことである。
月例会、合宿を通じ詩論、詩人研究、作品合評を継続している。作品発表の主な場である詩誌「流域」は二四号を迎える。
これからの「流域」にどのような堆積が重ねられるか、どのような氾濫があるかわからないが、日常性のなかから非日常なるものを汲みあげ、それを詩に定着させることによって自己の存在を確かめていこうとする姿勢は失いたくない。
言葉と対峙し、生の意味を問うことへの新たな階梯を求めて、ここにアンソロジー「流域詩集」を上梓することにした。ご一読を乞い、ご批判を待つ次第である。
(「あとがき」より)
目次
・荒賀憲雄
- 鳩
- 家族
- 火の記憶
- 虚像の人
- 穴
・河野幹雄
- 狂ったカレンダー
- 物置の中に棚を吊った
- ルームランナーの孤独
- ハムのある風景
- 国語(ことば)の実験室(あそびば)より
・小林竜吉
- まっているこども
- 彦根
- 梅の咲く道
- 駅
- ある朝
- ウルトラブルーペール
- 一本の樹が
- 冬
・佐倉義信
- なわとび
- 秋の終り
- いも
- 包みをほどく
- うなぎ
- きりぽんさん
・なす・こういち
- 光る星
- 円
- 日常
- 経験
- 親しいゼロ
- 説話
・三谷寿行
あとがき