1990年2月、サンリオから刊行された青木景子(早坂類、1959~)の第4詩集。カバーは石郷岡まさお、装幀は小村裕一。著者は下関生まれ。
時々、詩はどうやって書くのですかと尋ねられることがあります。
私はいつでもこの質問に答えられません。(でもこういう質問をしてくださる方はたいてい感じの良い方です。どうしてなんでしょう)
青木景子という名前は私の本名ではありません。
私にとっての青木は、この詩集を手にとってくださった方にとっての青木景子と、きっと同じです。
どこかにいて、詩を書いている人です。
これは、詩はどうやって書くのですかと尋ねられたときにいつも思うことです。
詩は、私ではない誰かがやってきて書いてゆくのです。そんなかんじはどうもうまく説明しにくいけれど、そうなのです。しかし時々、青木景子のようでいてそうではない奴が出てきてしまいます。それは微妙に世界のちがう奴です。私は最初そいつを青木の変形としてもてなすべきか切り捨てるべきか大変迷ってしまいました。それは私にとって二人目の詩人です。このふたつの世界の違いについて私は今でも考えています。でもこれは”あとがき”で、ざんげのコーナーではないのでこの悩みについてあまり詳しくは書けませんが、とりあえず私はもうひとりのそいつに新しい名前をつけて青木景子という世界から切り離してみました。このソロ・ヴォーカリストのようなはみ出し者も、いつかみなさんのお目にかけることがあるかもしれません。
そんな混沌とした分裂状態の中からですが、第四詩集をまとめることができました。
この詩集を機に青木景子としての、より純粋な世界ができあがってゆくような予感がしています。
やっとメインストリートに入ったばかり。まだまだ青い野原は遙かです。
心の網目をさらに細かくして、したたる詩はますます澄んでいなければ。私にとっていろいろな意味でのあらたなスタートとなる詩集です。
(「あとがき」より)
目次
・青いコスモス
- 想いの日々
- 暑中お見舞い申し上げます
- 涙
- 広海くん
- 空と海
- 青いコスモス
- 臆病な電話
- Nさん
- 赤いつぼみ
- サカキバラくんのゲタ
- 修学旅行
- 指揮者
- 雪の朝
- 最後のバレンタイン
- 恋することのもっと他に
- 卒業
・サティが聴こえる。
- 生きてゆく僕の
- わにぐちさんの天気雨
- 風になりたい
- ピーの夏
- 十八才
- 彼女
- あの子が じぶんでいなくなった日
- とびきりのさみしさで夜を
- 希い
- 不安坂
- サティが聴こえる
- 僕のクロイツェル
- まっさらな野に立っている
・宇宙の小鳥
- ダリアの庭
- はじまりの夢
- 銀糸の雨
- 宇宙の小鳥
- 青い星の石
- 歌わない星
- 二声の光
- 死のような花
- 原っぱ 海へ
- 風
- 波
- ANEMONE
- 水の詩
・シグナル
- ブランコ
- fly away
- 芥子
- シグナル
- なのはなばたけ
- 恋人
- 残酷な愛
- 手紙をください
- 嘘
- 花束とカード
- 生きていてもいいんだったら
- 結婚
- 歩道橋の向こう側
- 真夏の僕の上に降る雪の詩
あとがき
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