2000年11月、摩耶出版社から刊行されたさかたしげし(1937~)の第2詩集。著者は福井市生まれ。刊行時の住所は横浜市神奈川区。
この詩集は、一九七五年一月刊行の前詩集『浅い眠りの日々』以後、詩誌『第三紀層』に発表したものに手直しや書き加えをして編みました。
各作品末につけた年月は『第三紀層』の発行時期ですが、近年のものは作品脱稿時期です。一九七八年八月、突然、横浜へ転勤することになり転居を重ねているうちに無くした作品は、当然未収録となりました。
関東に転勤ということで、高島洋さんが『コスモス』を紹介してくれました。神戸水道筋商店街での高島さんは紺の和服に詩誌を持ちお元気でしたが、神戸の大震災直前に他界されました。
『コスモス』の秋山清さんとは新宿で二、三回お会いし、詩とエッセイを同誌に載せていただきました。その後は仕事に追われ、コスモスの会に出席できなくなり、秋山さんからお叱りの葉書がきました。たいへん気になっていることです。『コスモス』に発表した詩は手元にありません。いつかみつけて、このあとの詩集に載せられたらと思います。
この詩集名『彼女たち』は岩渕欽哉さんの推薦によるものです。
横浜に来てから詩と無縁の日々がつづきました。三年くらい経った或る日、赤松徳治さんから電話がありました。どのようにして住所を知ったのかわかりません。深い淵から浮かびあがるようでした。
この頃からまた、詩に似たものを『第三紀層』に書くようになりましたが、ながく離れていたのでなかなか書けませんでした。
このたび何人かの人に詩集を出すと言ってしまったので急ぎました。
松尾茂夫さんは、区切りをつけて早く出したほうがいいといいます。
確かに滞貨一掃、新たに、何にもとらわれず好きなことを自由に書けたらという思いがあります。イデオロギーだけでなりたっている詩ではなく、愛について書きたい。ジャック・プレヴェールに倣って。
表紙はモダンアート協会会員高橋克芳先生の絵画教室で描いた作品です。今回の出版も、詩の先輩で同人でもある三宅武さんのお世話をいただきました。ありがとうございました。
(「あとがき」より)
目次
1外で
- 外で
- 港町にて
- 仮の巣
- 休日に一人出勤していると
- 笑っている女のポスターの前に
- 階段
- 母魚
- 空
- 山の中
- 某日某都
- ある朝
- 毎朝通る道で
- ふたたびの朝
- 跨線橋にて
- 風が吹く
- ガラスハウスにて
- 指を洗う
- だいだい色の風景
- 犬と星のある光景
2彼女たち
- 彼女たち
- 彼女たち2
- 彼女たち3
- 彼女たち4
- 彼女たち5
- 彼女たち6
- 彼女たち7
- 彼女たち8
- 街にて
- 折れた柱
- 夫婦
- 呼ぶ声
- 消息
- 女の手
- 雨
- 赤銅色のイヴ
- すすめられて
- 投げ出すように
- それをむかし
- バス 朝と夕
- 花火
- 蝗
- 柵
- 夢を見た
- 警笛
- 鳥
- 燕
- 八月
あとがき