2002年1月、詩画工房から刊行された志賀英夫(1925~)による詩誌研究書。著者は京都府生まれ。刊行時の職業は詩画工房社主、住所は大阪府豊能郡。
平成八年七月号から、平成十年二月号まで「柵」に連載したものに、その後収集した資料を加え、大幅な改訂版としました。ご協力頂いた多くの方々に厚く御礼申し上げます。連載中にご寄稿頂いた先達、先輩詩人の訃報が最近とみに重なり残念です。もう一年でも早く出版できればよかったのにと反省しています。私も、傘寿の年となりました。視力のあるうちに拙速でも纏めておこうと奮起した次第です。
詩誌一覧索引と共に人名索引もと欲張りましたが、百頁を超えるものになります。これは別冊として作成させて頂きます。ご希望の方にのみお届けしようと思います。完成は秋ぐらいの予定です。ご一報下さい。
日本の詩壇を形成し、詩人の砦として存在した詩誌が、こんなにも多く存在していたことは、先人達の情熱による所産で、畏敬の念をおぼえます。
今日、存在する詩誌の通巻平均号数は、私の手持の資料三百点では、平均七〇号です。ちなみに、三百号以上が全体の十五%、三十号以下では三○%ですから、最近創刊される詩誌の数は、昭和初年頃の約百に対してはるかに少ないことが考えられます。もっと若者たちに魅力ある詩界の潮流が必要であると思います。
末筆、本著を編集するために、偉大な遺産を遺して下さった吉沢独陽氏に感謝します。
(「あとがき」より)
目次
着手に当たって
・明治期概要
- 明治年間の詩誌
- 「新體詩抄」明15・7~「聖盃」明45・12 他四三誌
- 大正期概要
- 大正初期の詩誌
- 「現代詩文」大2・7~「関西詩歌」大8 他四八誌
- 大正中期の詩誌
- 「地上の子」大9・1~「洪水」大11・6 他一〇七誌
- 大正後期の詩誌
- 「赤と黒」大12・1~「亜」大3・11 他一三二誌
- 大正14年の詩誌
- 「青空」大14・1~「銅羅」大14・4 他六六誌
- 大正15年の詩誌
- 「近代風景」大15・1~「オオゾラ」大15・12 他七五誌
・昭和期概要
- 昭和2年の詩誌
- 「詩壇消息」昭2~「亜細亜」昭2 他六三誌
- 昭和3年の詩誌
- 「都会思想」昭3・1~「雀」昭3・9 他九〇誌
- 未収集の詩誌 七九誌
- 昭和4年の詩誌
- 「赤道」4・2~「象像」4.0 他八九誌
- 昭和5年の詩誌
- 「火箭」昭5.1~「南方詩人」昭5・11 他九六誌
- 昭和6年の詩誌
- 「新文学研究」昭6.1~「水脈」昭6 他九一誌
- 昭和7年の詩誌
- 「椎の木 第三次」昭7・1~「南苑」昭7 他九五誌
- 昭和8年の詩誌
- 「文芸首都」昭8.1~「軍憺」昭8 他一〇五誌
- 昭和9年の詩誌
- 「苑」 昭9・1~「祖媽」昭9 他九九誌
- 未収集の詩誌 一二六誌
- 昭和10年の詩誌
- 「階調」昭10~「北豹」昭0 他一三二誌
- 昭和11年の詩誌
- 「詩人」昭11・1~「渤海詩人」昭11.7 他八七誌
- 昭和12年の詩誌
- 「詩とコント」昭12・1~「樺太歌謡」昭12・12 他五九誌
- 昭和13年の詩誌
- 「詩生活」昭13・1~「龍舌蘭」昭13 他二九誌
- 昭和14年の詩誌
- 「文学者」昭14・1~「鵲」昭14.7 他四二誌
- 昭和15年の詩誌
- 「芸園」昭15・4~「柚の木」昭15 他二四誌
- 昭和16年の詩誌
- 「馬車」昭16・1~「沖積土」 昭16 他三五誌
- 昭和17年の詩誌
- 「文芸復興」昭17・2~「文芸航路」昭17 他三六誌
- 昭和18年の詩誌
- 「地球」昭18~「上海文学」昭18 他三誌
- 昭和19年の詩誌
- 「日本文学者」昭19・4~「歌謡道場」昭19 他一四誌
- 敗戦の年・昭和20年
- おわりに
・座談会 わが郷土の詩史づくり
- 黒田達也 坂本明子 田村のり子 富田正一 東延江 (司会)志賀英夫
・乗り越えた苦難と歓喜の歳月 (証言)
- 月船・孝政両氏の追憶 間野捷魯
- 依頼に答えて 本家勇
- 昭和初期 天野隆一
- 「詩篇」について 林光則
- 「南国詩人」から今日まで 上村肇
- 二人の先輩詩人 上林猷夫
- 「虎座」創刊のこと 寺田弘
- 思い出す人たち 岡本廣司
- わが心の槇村浩 鈴木初江
- 印象に残っていること 菊池美和子
- 詩誌「VOU」への追想 長島三芳
- 恥ずかしくて、懐かしい 岡田武雄叫
- 戦前回想 村山太一
- 昭和十年代前半の頃 蒲生直英
- 戦前――わが詩事始 河邨文一郎
- 「新領土」創刊と加盟の思い出 池田時雄
- 高村光太郎の配給米 三村繁
- 詩誌「朱幃」について 麻生久
- 「荒地」以前のこと 衣更着信
- 「山の樹」慶大生たちの青春の宴 鈴木亨
- 「馬車」から「山河」へ 伊藤桂一
- 同人誌の受難時代 柴田忠夫
- 堀口大学先生のこと 森道之輔
- 「詩叢」の思い出 畠山義郎
- 「爐」創刊から昭和22年頃まで 日高てる
- 戦火のなか 永久欣示
- 「若草」の人たち 篠原つねを
- 「柵」の前身「草径」 津根元潮
- 便り 西口藤助
詩誌一覧索引
あとがき