暗渠 福多久詩集

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 1971年6月、聖伍論から刊行された福多久(1948~)の第1詩集。装幀は大竹ヨシ子、写真は松永好訓。著者は東京江東区生まれ。

 

 作品集は「暗渠」と名づけられた。遅遅たる己れの歩みと酸鼻と悔恨の季節の意味をも含めてではある。
 暗渠とは憎悪と裏切りに魅せられてひらくわが内なる花の失楽園であった。失楽の園に押れた花こそ、鮮しき血の流れと、やさしさと、含羞に、己が呪はれた生をつつましく被ひかくしたあまねあき芸文のこころの源初である。もとより許されて咲く花ではない。耳裏のほてりにも敗け、激しい収奪の夜に陰陰と咲くくれなゐの死を以つて返れる花であった。
 作品集の刊行にあたつては、若い友人たちに世話をかけた。さらにこの本の印刷、製本にあたるひとびと、そしてこの本にすくなからぬかかはりを持つひとびとにも拶挨をおくる。それらのひとなくしてこの作品集は型を構さなかった。

 

 


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