1981年8月、青磁社から刊行された西杉夫(1932~)の第2詩集。
第一詩集『原子力』を出してから、すでに二十年ほどたってしまったから、詩集にかんしてはいささか怠惰ということになる。もっともこの間、詩は『新日本詩人』から『コスモス』へと、かきつづけてはきた。それらから選んでまとめたのがこの第二詩集で、ほとんどが『コスモス』に発表したものとなった。第一部から第三部まではそれぞれ類似した題材の詩を集め、それらに入らないものを第四部にした。
わたしにとって詩とは、現代日本についての、ある種のルポルタージュ以外の何物でもない。そしてわたしにもっとも頼りがいのあるのは、自分自身の目である。政治や常識なんかでくもらされることのない目をどのようにきたえるか――そんな方向でこれからもわたしの試みは持続するだろう。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- キジがいた
- たらの木の道
- 緑化
- 始末記
- 群生
- 集団
- 省略
- 異常なし
- 成長
Ⅱ
- 煙草の火
- 誕生
- 儀式
- 朝のビール
- ビジネスホテル
- 静かな場所
- ひげ
- 走る
- 公営プール
Ⅲ
Ⅳ
- 裏から登る
- ねらわれる
- 白か黒か
- 鳩
- 飢え
- からすの海
- 小さな空
- 異常乾燥