震災詩集 沙と葩 中村千才詩集

 2011年8月、詩画工房から刊行された中村千才の詩集。著者は山梨県一宮町生まれ。

 

目次

  • プロローグ 貼紙の向こう
  • 浮き沈み
  • 季節は浜に降りてきた
  • おかあさんの声
  • 芽ぶく
  • 今 防潮堤だけが
  • かるいかばん
  • ほんでも 負けられん
  • 影の町
  • 陽光の 郡山
  • 山のげんき草
  • 夢の先
  • 携帯写真
  • かずのいえ どーん
  • 鯉のぼり
  • 助けられているよりも
  • 浴衣の花と太鼓
  • キーちゃんのかおりが追っかけてくる
  • 次郎さん 香子さんも
  • 「安いね 旨いねえ」
  • おみやげヘリが
  • 星の夜
  • 波を押し返す
  • 箱ひとつ
  • 一枚ずつの写真
  • いい子をね
  • うみ という字
  • エピローグ 荒波とあした

あとがき


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倒れかかるものたちの投影 粒来哲蔵詩集

 1990年1月、思潮社から刊行された粒来哲蔵の第10詩集。装画は西本真一、装幀は芦澤泰偉。刊行時の著者の住所は三宅島。

 

 最近私は、私の編む小誌「鱏(えい)」三号のあと書きに、次のような短章を書いた。
――棫(タラ)の木の先にゴマダラカミキリが止まっていて動かない。触角を頭から背に流し、その仰角も調っていて、脚の爪は樹肌を噛んでいる。手を触れてみると、虫はとうに死んでいた。
 島の初冬の一日、気をつけてみると、二十本程並列に植えたわが家の棫の木の、ほとんどの梢でカミキリが死んでいた。彼らは高さ一メートル半程の木のてっぺんまで登りつめ、そこで脚を踏んばり、力をこめ、バランスを失うことなく硬化して了っていた。もちろん鞘翅に触れても落ちるものではない。なかには雌雄とも交尾の姿勢のまま動かないものもあって、心うたれた。
 それらはかなりの間島の強風に耐えていたが、やがて小鳥についばまれてか数が減り、残余のものは体側から白い黴が生えて次第に菌糸に被われ、コジュケイの雛が生まれる頃までにはどれもが消滅した。
 棫の芽をもぎとりながら、私はかつて彼らの死がへばりついていた粗い樹肌を撫でた――と。
 カミキリばかりではない。この二、三年私の近辺からも詩仲間の誰彼がいなくなった。彼らの在りし日の形姿を虫たちの鞘翅に手触れるようにして見ることは叶わないが、時折彼らの詩集に触れてみることはある。指の先でうずくように鳴っている彼らの業に、やがてやって来よう自らの死の影を重ねる日も間近いだろうと思いながら――。
 この詩集『倒れかかるものたちの投影』に収められた作品は、一九八六年四月より八九年六月までの間に書か(「あとがき」より)


目次

Ⅰ 牛と馬などと

  • 火牛
  • 楽器
  • 聖家族
  • 悪霊
  • うさぎ
  • 養蜂

Ⅱ 鼬(いたち)と狐など

  • 冬の桜
  • 傾く月
  • 手の始末
  • 瞼Ⅰ
  • 瞼Ⅱ
  • 瞼Ⅲ
  • 夜の鍋
  • 海の凧

Ⅲ 洋梨無花果など

Ⅳ 鱏・mantaなど

  • 旅·Monziro
  • 火焔木の下から
  • 鱏‧manta

あとがき


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ぼくは梅雨期のなかにいた 諸井良一郎詩集

 1968年10月、国文社から刊行された諸井良一郎(1939~)の第1詩集。著者は神戸市生まれ、刊行時の住所は神戸市垂水区

 

目次

  • あこがれに語る
  • 午前0時の嘔吐
  • 河豚 
  • いつかみたゆーれい
  • 海をアジテータァならしめよ
  • ぼくの夏は突然死んだ 
  • 風のシンデレラがやってきた
  • 静かに静かに静かに
  • つり堀のファンタジー
  • 風葬のためのラプソディ
  • ねずみのためのレクィエム

  • 落ちる屋根
  • ぼくの戦争
  • 檻・またはやさしい告白
  • 野盗
  • ありふれた風景として
  • 塵芥焼却場風景
  • 脱出
  • ぶらさがる東京
  • わが愛の褥
  • 朝・走る・おれたちは
  • ぼくの夏のつぎに
  • 男と女
  • いないいないバア
  • 生まれた

跋 倉橋健一
あとがき


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うたのゆくへ 齋藤史歌集

 1953年7月、長谷川書房から刊行された齋藤史(1909~2002)の第5歌集。著者は東京市四谷区生まれ。

 

 わたくしの第五番目の歌集です。
 昭和二十三年から二十七年までの五百五十二首を入れました。身邊の事から云へば、東京からの疎開ぐらし满三年半ののち、村の林檎倉庫の部屋を二十四年に出て、長野市に棲むやうになりました。
 昭和の初期、前川佐美雄、石川信雄らと、仲間をつくり、藝術派、と呼ばれた歩み出しをしてからでさへ、すでに二十数年の日が過ぎました。昭和十五年に第一歌集「魚歌」を出しました時、私を元気づけて下さつたのは、おもに詩人、小説、評論の諸先輩であり、新しい短歌の方向を探るもの、と云っていただきました。
 以来、歴年、朱天、やまぐにの歌集。又いまだに話題になる合集、新風十人など。随筆集も一冊。ちがふ名前で、長篇小説のやうなものも書きました。
 日本といふ國も、幾度かうつり、二十代に二・二六事件を身近く視た眼に、敗戦も眺め、もう、四十の年齢も過ぎました。
 今、寫生風の歌の特に盛な信州に棲んで、この歌集をまとめながら、自分の作品を再びかへりみて、苦い笑ひをして居ります。戦後、農村の生活の中に、私は、今までの自分の歌の在りやりを眺め、土に足を密着させたところから探り直してみる事を試み、それでなほ、私の歌が、寫生風一途なものとならず、やはり「魚歌」の道を選ぶのならば、これもまた、つらぬくより仕方のないわたくしの天性ででもあるのだらうと思ひ決めました。
 この集の中にも、どこに旅をしたとか、誰に逢ったとか、雨が降るので道がわるいとか、いふ種類の歌は、少ししか入れて居りません。それよりも、強く、自然の中から人間の中から、抽き出するのを求めて居ります。風雅な笛はあれども吹かず――まだまだ修業をしなければならないわたくしは、先進たちによつて安穏に築かれた、風雅の短歌の上に乗つては居られないのです。
 わたくしはいそぎます。
 たとへ、書きのこす歌はまことに貧しく小さくても、わたくしは私の道を探りたどるより仕方のないことです。
 長谷川書房主が、わざわざ長野へいらしての御すすめによつて、同氏の手に、この原稿を御まかせいたします。

(「後記」より)

 

 

 

目次

・昭和二十三年作品 八十一首

  • 寒夜
  • 村棲み
  • 梨老樹
  • はだか火
  • 白きうさぎ

・昭和二十四年作品 八十一首

  • 濡れてゆく
  • 冬虹
  • 樹液
  • 夜蟬
  • 月明夜歌
  • 迷彩
  • ふぶき

・昭和二十五年作品 百九首

  • くらい荒れた谷間
  • 春の河
  • 縫ひぐるみ
  • 不淸淨天使
  • 斷面
  • 旅行者
  • 秋湖
  • 暗きくれなゐ

・昭和二十六年作品 百五十一首

  • 冬樹樹
  • 春の雪
  • 忘却の河
  • 氷炎
  • ひなげし
  • 忘我
  • まぶた
  • 平衡
  • 水のごとく
  • 花のまがき

・昭和二十七年作品 百三十首

  • かりそめ
  • 殘り火
  • うらみ
  • 梨花
  • あくた
  • 殘菊一枝

後記

 

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にあんちゃん 十歳の少女の日記 安本末子

 1958年11月、光文社から刊行された安本末子の日記。カバーは北川民次カッパブックス。1978年、講談社文庫で復刊。


まえがき

目次

第一部 お父さんが死んで

  • 1 兄さん、ねえさん
  • 2 「なんでこんなにお金が……」
  • 3 べんとう
  • 4 大雨の日
  • 5 滝本先生
  • 6 びょうき
  • 7 「ストライキは私の大かたき」
  • 8 首切り
  • 9 わかれ、わかれに

第二部 兄妹四人

  • 1 友だちのたんじょう日
  • 2 兄さんからの手紙
  • 3 五年生になる
  • 4 人間のうんめい
  • 5 学校の生活
  • 6 どん底におちる
  • 7 炭焼き家に移る(高一の日記)
  • 8 「東京へ行こう」(高一の日記) 
  • 9 にあんちゃん


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