1968年12月、思潮社から刊行された石垣りんの第2詩集。装幀は吉岡実。第19回H氏賞受賞作品。
伊豆の五郎は私と同じ年のはとこ。四十を越して、遠くたずねてゆくとムスメが三人顔をそろえる。ひとり者だからと言って、私が何もこしらえないのは申しわけない。
借金は勤め先にわずかばかり。それはいいとして、借情、借交、借手紙、そんな言葉があろうかと思うような、身にふりつもるもので齢も心も重たくかしいできた。
これは私の、九年程前に出した一冊に続く二冊目の詩集。はずかしいけれど精いっぱいでほんの少々の返済。それに価格をつけるのはどういう了簡だ、面白くもない。と言われたら。だって、働いてきた。お金ではまだあなたに借りてない。
(「あとがき」より)
目次
- シジミ
- 子供
- 表札
- くらし
- 夜毎
- 旅情
- 海辺
- 花
- 幻の花
- 島
- えしゃく
- 冠
- 杖突峠
- 崖
- 健康な漁夫
- 仲間
- 藁
- 貧しい町
- 落語
- めくらの祭り
- 海のながめ
- 土地・家屋
- 鬼の食事
- 経済
- 愚息の国
- カッパ天国
- 銭湯で
- 公共
- ひとり万才
- 弔詞
- 唱歌
- 家出のすすめ
- 干してある
- 母の顔
- ちいさい庭
- 童謡
- 生えてくる
あとがき