1951年1月、私家版として刊行された祝算之介の詩集。
この本に収めた作品は、敗戦直後の「龍」より始まり、「島」「河」「風」「面」までの六一編で、制作期間は戦後の約二年半に亙るものである。
これらはすべて一冊ずつの小詩集として、ごく小部數をガリ版で印刷刊行してきたもので、ここに詩集『龍』として一本にまとめる際にも、出來るだけ原形を損わないように留意した。すなわち、作品の假名づかいを新かなに直つていないところを改め、又まえの小詩集で「あとがき」になつていた文章を「はしがき」に持っていつたほかは、原形と全く同じものにしておいた。
はじめ、この詩集の「面」を書き上げた頃、ある所から活版詩集にして出してくれる話がおこり、その後いろいろな事情があって、結局は全部自費で出版しなければならなくなつてしまつた。このことについては、相當部分の校正が進んだ途中でもあり、どうにも行きづまつてしまって、何度、この詩集刊行を思い止まろうと決心し、またその交渉をしたか分らなかつたが、或る程度組み上つた部分の紙型だけ買い取つて發行を断念するよりか、思い切つて一冊出してみたらと激励され、躊躇しながらも足かけ三年かゝつて、やつとのことで刊行することができた。
その間に私は、「面」につづくガリ版の小詩集として、「鬼」「鳥」「町」「雲」「朝」「雨」「壁」を次々と十五部ないし三十部ずつ刊行してきた。實はこれらもこの本に系統立てて收録しておきたかつたのであるが、それは色々な關係から、次の機會に護ることとした。
(「あとがき」より)
目次
・龍
- 秋のノオト
- 夢
- 赤とんぼ
- 家
- 蔬菜畑にて
- 龍
- 龍
- 沼
- 繪本
- 神話
- 神話
- 夜の伽
- 香爐
- 辯明
- 辯明
- 富士
- 冬の人
- 冬の人
- 森
- 鳥
- 鳥
・島
村に關する斷章
途上
ねがい
心象
夜に
八月
秋
町醫
彷徨
葬列
時間
島
海
幻想
祭
島
河
菜の花
曇天
群像
虹
五月の夜の物語
蟲
貨幣
雷
落日
鬼
鳥
河
・風
Ⅰ
- 風
- 技術
- 作業
- 忘却
Ⅱ
- 火の國
- 将軍
- 熱風
- 弟子
Ⅲ
- 笛
- 霧
- 雨
- 山脈
・面
- 果實
- 二月の曇り空から鳳花のようなものが降つていた
- 種族
- 隣人
- 黙契
- 化石
- 挿話
- 面
あとがき
NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索